Arduino Uno R4 WiFiの仕様・機能

当記事では、Arduino Uno R4 WiFiの仕様・機能について、詳しく解説します。
Arduino Uno R4 WiFiは、Arduino Uno R4 Minimの基本性能に、ワイヤレス通信機能(Wi-Fi/Bluetooth)が加わった上位エディションです。
ワイヤレス通信機能により、Arduino IoT Cloud との連携が容易になり、複雑なサーバー構築やネットワーク設定の知識がなくても、手軽にIoTプロジェクトを始めることができます。
その他にも、12x8ドットのLEDマトリックス、ランタイムエラー診断の機能やQwiicコネクタ、VRTC/OFF/GNDヘッダが加わっています。
Arduino Uno R4 Minimの仕様・機能についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

Arduino Uno R4 WiFiの基本仕様
仕様 | Arduino Uno R4 WiFi |
---|---|
基板サイズ | 68.85×53.34mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | Renesas RA4M1 (Arm Cortex-M4)/48MHz Espressif ESP32-S3 (Cadence Xtensa LX7) |
RAM | 32kB RAM/RA4M1 512kB SRAM/ESP32-S3 |
ROM | 256kB Flash/RA4M1 ※プログラムを保存 384kB ROM/ESP32-S3 |
EEPROM | 8kB/RA4M1 |
動作電圧 | +5V |
電源入力電圧 | +6~+24V |
出力電圧 | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 20本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 6本 |
アナログ入力 | 6本 |
アナログ出力 (DAC) | 1本 |
オペアンプ | 1個 |
端子の定格電流 | 8mA/各端子 |
プログラム 書き込み端子 | USB Type-C SWD(ESP32経由) |
インターフェース | Wi-Fi(802.11 b/g/n Max.150 Mbps 2.4 GHz) Bluetooth 5 UART I2C SPI CAN Qwiic |
その他 | RTC USB-HID ランタイムエラー診断 VRTC(RTCバックアップバッテリー) OFF(ボード電源ON/OFF制御) ICSP ESP Header SWD(ESP32経由) |
Arduino Uno R4 WiFi以外のArduinoボードの仕様については、以下の記事をご覧ください。

Arduino Uno R4 WiFiの機能
Arduino Uno R4 WiFi外観

ソケット配置(ピン配置)/LED配置

↑クリックすると拡大できます。
①メインマイコン
Arduino Uno R4 WiFiのマイコン(プロセッサ)はRenesas Electronics社(日本)の「RA4M1」が使用されています。
マイコンとは、マイクロコントローラ(またはマイクロコンピュータ)の略称で、人間で言えば「頭脳」に相当する電子機器を制御する上では大変重要な部品です。
SRAM、Flashメモリ、EEPROM、RTC、USB-HIDなどの機能もマイコン内部に組み込まれています。
マイコン内部の機能 | 説明 |
---|---|
SRAM | プログラム(スケッチ)実行中に使用する変数やデータ、スタック、ヒープなどを一時的に格納 電源を切ると内容が失われる揮発性メモリ |
Flashメモリ | プログラムやブートローダが格納 電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリ |
EEPROM | プログラム実行中や電源が切られた後も保持したい設定データや校正値など比較的、小さな永続データを格納 電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリ |
RTC (リアル・タイム・クロック) | 正確な時刻を刻み続けるための時計機能 |
USB-HID (USBヒューマン・インターフェース・デバイス) | 人間が操作するデバイスを、USB経由でホスト機器に接続する機能 (キーボードの文字入力やマウスのカーソル移動などをマイコンから操作可能) |
ランタイムエラー診断 | エラーが発生した場合、Arduino IDEに詳細なエラー情報を出力 (Arduino Uno R4 Minimaでもランタイムエラー診断は使用可能だが、外部のSWDデバッガがハードルが高い。) |

②Wi-Fi・Bluetooth用マイコン
ESP32-S3単独でも強力なMCUチップですが、Arduino Uno R4 WiFiにおいては主にワイヤレス通信機能(Wi-Fi/Bluetooth)の役割を担っています。
また、その他にデバッグ機能やUSBブリッジ機能としての役割もあります。USBケーブルからESP32-S3を介することで、外部のSWBデバッガを必要とせずにSWBの機能を使用することができます。
(そのため、Arduino Uno R4 WiFiでは、Arduino Uno R4 Minimaにあった物理的なSWDコネクタが削除されています。)
SWDは、ブートローダーの書き込みやブートローダーを介さないプログラム(スケッチ)の直接書き込み、SWDインターフェースでのデバッグなどに使用します。
どの機能も上級者向けなので、初心者・中級者の方はまず使用することはないでしょう。
マイコン内部の機能 | 説明 |
---|---|
Wi-Fi | 802.11 b/g/n Max.150 Mbps 2.4 GHz |
Bluetooth | Bluetooth 5 |

③USBポート
USBケーブルで、Arduino Uno R4 WiFiとPCのUSBポートに接続することで、Arduino Uno R4 WiFi-PC間で、通信をすることができます。
PCで作成したプログラム(スケッチ)を、Arduino Uno R4 WiFiに書き込んだり、シリアル通信によって、PCからArduino Uno R4 WiFiを制御することができます。
また、電源ジャックの代わりに、USBによってArduino Uno R4 WiFiに給電することも可能です。

④電源ジャック
ACアダプタ(外形5.5mm、内径2.1mm)を接続して、Arduino Uno R4 WiFiに給電することができます。

⑤リセットボタン
リセットボタンを押すことで、Arduino Uno R4 WiFiを再起動することができます。プログラムを最初からやり直したい場合やArduino Uno R4 WiFiの動作がおかしい場合などに利用します。
⑥入出力ポート・電源
デジタル入出力・PWM
デジタル入出力・PWM | 説明 |
---|---|
D0-D19 | デジタル入出力(0-19番ピン) HIGH(+5V)/LOW(0V)の入出力 |
PWM | 0~+5Vのアナログ出力 0Vと+5Vを高速で切り替えることで、擬似的にアナログ出力する方式 |
PWMとシリアル通信はデジタル入出力と共用です。プログラムでどちらを使うか指定できます。

アナログ入力/アナログ出力
アナログ入力 | 説明 |
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A0-A5 | アナログ入力(0-5番ピン) 14bitのA/Dコンバータ(約0.305mVごとに1段階変化) |
アナログ出力 | 説明 |
---|---|
DAC0 | アナログ入力(0番ピン) 12bitのD/Aコンバータ(約1.22mVごとに1段階変化) |

↑PWM出力の関数も解説しています。
オペアンプ
オペアンプ | 説明 |
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AMP+ | オペアンプ+入力 |
AMP- | オペアンプ-入力 |
AMPO | オペアンプ出力 |
マイコン(プロセッサ)の「RA4M1」には4つの独立したオペアンプユニット(AMP0~AMP3)が搭載されています。
その内、AMP0がA1~A3端子に接続されているため、オペアンプとして使用することができます。

通信(コミュニケーション)
通信 (コミュニケーション) | 説明 | |
---|---|---|
UART (シリアル通信) ※USBシリアル通信にも使用 | TX | シリアルデータ送信 |
RX | シリアルデータ受信 | |
I2C ※A4、A5と内部的に接続 | SCL | シリアルクロック |
SDA | シリアルデータ送受信 | |
SPI | SS | 制御対象のデバイス選択 |
SCK | シリアルクロック | |
MOSI | マスター⇒スレーブのデータ転送 | |
MISO | スレーブ⇒マスターのデータ転送 | |
CAN (コントローラ・エリア・ネットワーク) | TX | シリアルデータ送信 |
RX | シリアルデータ受信 |



電源関連
電源関連 | 説明 |
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Vin | 「③電源ジャック」の電圧が出力、 電源ジャックを使わず「Vin」からの給電も可能 |
GND | グラウンド・基準点 |
+5V | +5Vの電圧出力 |
+3.3V | +3.3Vの電圧出力 |
その他
その他 | 説明 |
---|---|
GND | グラウンド・基準点 |
AREF | アナログ入力の基準電圧(0~+5Vを入力) 通常は使用しない |
RESET | リセット (「④リセットボタン」と同機能) |
IOREF | +5Vの電圧出力 |
BOOT | ブートローダー書き込み時にGNDに接続 (ブートローダー破損時やカスタムブートローダーを書き込みたい場合) |
⑦Qwiic
Qwiic(クイック)とは、SparkFun社が開発した、I2Cデバイスを簡単に接続するためのシステムです。
QwiicシステムはI2C通信プロトコル、4pin JSTコネクタを使用しています。
そのため、Qwiicシステムに対応したモジュール(センサー、アクチュエーター、ディスプレイなど)であれば、Arduino Uno R4 WiFiに簡単に接続することが可能です。
接続システム | 説明 | |
---|---|---|
Qwiic | GND/1pin | グラウンド・基準点 |
VCC/2pin | +5Vの電圧出力 | |
SDA/3pin | シリアルデータ送受信 | |
SCL/4pin | シリアルクロック |
⑧VRTC/OFF/GND
電源関連 | 説明 |
---|---|
VRTC | RTC(リアルタイムクロック)を駆動するためのバッテリーの+極を接続 (通常はCR1220などのコイン型リチウム電池を接続) |
GND | グラウンド・基準点 |
OFF | LOWにすると、ボードのメイン電源をオフにすることが可能 (バッテリー駆動のプロジェクトで低消費電力を実現したい場合などに、ソフトウェアや外部スイッチでボードの電源を制御するために使用) |
⑨LED
LED | 説明 |
---|---|
ON | Arduino Uno R4 WiFiに給電されると点灯 |
TX | シリアル通信で送信時に点滅 |
RX | シリアル通信で受信時に点滅 |
L | デジタル入出力の13番に接続 |
Arduino Uno R4 WiFiには4つのLED(チップ部品)が搭載されています。「L」のLEDについてもう少し詳しく説明すると、デジタル入出力の13番に接続されており、プログラムで13番ピンをHIGH(5V)にすると、点灯させることができます。
以下の記事では、統合開発環境のArduino IDEを使用して、Arduino Uno R4 WiFiのプログラム書き込み方法を紹介しているのですが、サンプルプログラムとして、「L」のLEDを点滅させるプログラムを作成しています。

⑩12x8ドット LEDマトリックス
Arduino Uno R4 WiFiには12x8ドット LEDマトリックスが搭載されており、簡単な情報を表示することができます。
デバッグ目的の状態表示、フィードバック、クリエイティブ的な表現などアイディア次第で色々な用途に使えそうです。
(ARDUINO STOREのArduino Uno R4 WiFiのページでは、クリエイティブ的な表現としてハートマークの表示をさせています。)
⑪ICSP
ICSPは、SPI通信を行うために使用します。ICSP端子からSPIとして使用するシールドがあり互換性を持たせる意味で残していると考えられます。
なお、Arduino Uno R3まではブートローダーの書き込みとして使用していましたが、Arduino Uno R4 WiFiではESP32-S3を介してUSBからブートローダーの書き込むことができます。
(一方、Arduino Uno R4 Minimaでは、ブートローダーの書き込みはSWD端子を用います。)
⑫ESP Header
特に名称がボード上に記載されていないESP32-S3用の6pin Headerですが、機能としてはESP32-S3自体デバッグ(JTAG/SWD)、ESP32-S3のUART通信、ブートモード制御として使用することができます。
どの機能も上級者向けなので、初心者・中級者の方はまず使用することはないでしょう。
Arduino Uno R4 WiFiの技術資料の入手方法
Arduino Uno R4 WiFiは、回路図などの各種技術資料をArduino公式WEBサイトから入手できます。
- 回路図:PDF形式
- データシート:PDF形式
まずは、以下のリンクからArduino公式WEBサイトに移動します。


「Documentation」の項目が表示されるまで下にスクロールします。

それぞれのアイコンをクリックすると、回路図、データシートがダウンロードできます。
Arduino Uno R4 WiFiとArduino Uno R4 Minimaの比較
仕様 | Arduino Uno R4 WiFi | Arduino Uno R4 Minima |
---|---|---|
基板サイズ | 68.85×53.34mm | 68.85×53.34mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | Renesas RA4M1 (Arm Cortex-M4)/48MHz Espressif ESP32-S3 (Cadence Xtensa LX7) | Renesas RA4M1 (Arm Cortex-M4)/48MHz |
RAM | 32kB RAM/RA4M1 512kB SRAM/ESP32-S3 | 32kB RAM/RA4M1 |
ROM | 256kB Flash/RA4M1 ※プログラムを保存 384kB ROM/ESP32-S3 | 256kB Flash/RA4M1 ※プログラムを保存 |
EEPROM | 8kB/RA4M1 | 8kB/RA4M1 |
動作電圧 | +5V | +5V |
電源入力電圧 | +6~+24V | +6~+24V |
出力電圧 | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 20本 | 20本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 6本 | 6本 |
アナログ入力 | 6本 | 6本 |
アナログ出力 (DAC) | 1本 | 1本 |
オペアンプ | 1個 | 1個 |
端子の定格電流 | 8mA/各端子 | 8mA/各端子 |
プログラム 書き込み端子 | USB Type-C SWD(ESP32経由) | USB Type-C SWD |
インターフェース | Wi-Fi(802.11 b/g/n Max.150 Mbps 2.4 GHz) Bluetooth 5 UART I2C SPI CAN Qwiic | UART I2C SPI CAN |
その他 | RTC USB-HID ランタイムエラー診断 VRTC(RTCバックアップバッテリー) OFF(ボード電源ON/OFF制御) ICSP ESP32-S3 Header SWD(ESP32経由) | RTC USB-HID ICSP SWD |
Arduino Uno R4 WiFiの選び方
『Arduino Uno R4 WiFi』は、ボード単体の他に、互換品や電子部品と組み合わせたキットも存在します。
電子工作初心者にとっては、どれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれませんが、以下の記事で初心者でもわかりやすいように、ランキング形式でおすすめのArduino Uno R4 WiFiを紹介しています。ぜひご覧ください。
