LTspice-ドットコマンド「.loadbias」(DC動作点を読み込み)の使い方
当記事では、ドットコマンド「.loadbias」(DC動作点を読み込み)の使い方について詳しく解説します。
「.loadbias」を使用して、ファイルに保存してある直流電圧の動作点(DC動作点)を読み込むことが可能です。
「.loadbias」の構文・コマンド例
「.loadbias」の構文は以下のようになります。コマンド「.savebias」を使用して、ファイルに保存してある直流電圧の動作点(DC動作点)を読み込むことができます。
そのため、直流電圧の動作点の収束に時間がかかるシュミレーションの場合、コマンド「.loadbias」によって、直流電圧の動作点が記述されているファイルを読み込むことで、シミュレーション時間を短縮することができます。
※<>のパラメータ:省略不可、[]のパラメータ:省略可能
.loadbias DC_OP.txt
例えば、DC動作点が保存されているファイル「DC_OP.txt」を読み込む場合は、上記のようになります。
「.loadbias」のシミュレーション例
「.loadbias」のシミュレーション例として、昇圧/反転DC-DCコンバータのLT3580のデモ回路において、コマンド「.savebias」で保存したDC動作点を読み込んでみたいと思います。
まずは、以下の記事を参考にコマンド「.savebias」を使用して、LT3580のデモ回路でDC動作点をテキストファイルに保存してみましょう。
コマンド「.savebias」を使用して、DC動作点を保存したファイル「DC_OP.txt」を開いてみましょう。
上記のように、「0.7msec」時点の各ノードのDC動作点が保存されているのがわかりますが、実はこのままでは、コマンド「.loadbias」を使用してDC動作点を読み込むことができません。
DC動作点を読み込むために、「.nodeset」を「.ic」に変更する必要があります。
また、シミュレーション結果をわかりやすく説明するために、「V(ss)」以外の各ノードのDC動作点を削除して上書き保存します。
「.ic」が出てきた時点でお気づきの方もいると思いますが、実は、「.loadbias」は、ファイルに記載されている「.ic」を読み込むためのコマンドとも言えるのです。
コマンド「.ic」の詳しい解説は以下の記事をご覧下さい。
LT3580のデモ回路を開き、「.loadbias」の構文を追加して、「Run」をクリックしてシミュレーションを実行します。
「.loadbias」の構文は以下のように記述して配置します。
.loadbias DC_OP.txt
これで、V(ss)のDC動作点が読み込まれるので、LT3580のSS端子の電圧の初期状態が約2Vになります。
また、チェックを入れたままだと、SS端子の電圧の初期状態を約2Vにしてもシミュレーション開始時に0Vに戻ってしまうので、「Start external DC supply voltage at 0V」のチェックを外します。
「.ic」を使用してV(ss)の初期状態が約2Vになったことにより、出力電圧V(out)が約12V一定になるまでの立ち上がり時間が100usec短縮されました。
そため、トランジェント解析の時間を短くすることで、結果的にシミュレーション時間を短縮することができます。
今回の例であれば、トランジェント解析の時間を「0.9msec」に設定することで、シミュレーション時間を短縮できそうです。
「.savebias」の使い方
今回、コマンド「.loadbias」でファイルからDC動作点を読み込みましたが、DC動作点をファイルに保存するには、コマンド「.savebias」を使用する必要があります。
コマンド「.savebias」の詳しい解説は以下の記事をご覧下さい。