電気回路と電子回路の違い
当記事では、「電気回路と電子回路の違い」について、詳しく解説していきます。
現在の製品・システムで使われる電気回路と電子回路の関係は曖昧になっており、大学や工業高専の電気科で学習する科目として区別する程度になっています。
回路とは何か?
回路(Circuit)の一般的な定義は以下のようになります。
回路とは、エネルギー・物質などが出て再び元の場所に戻るまでの道筋のこと。
また、回路の種類としては以下のようなものが挙げられます。当記事では、電気回路と電子回路について詳しく解説していきます。
- 電気回路
- 電子回路
- アナログ回路
- デジタル回路
- 磁気回路
- 空気圧回路
- 油圧回路
など
電気回路と電子回路の特徴
電気回路
- 「受動素子」のみで構成された回路
- 電気を「エネルギー」として考える回路
電子回路
- 「受動素子」と「能動素子」で構成された回路
- 電気を「信号(伝達手段)」として考える回路
- 電子回路は「アナログ回路」と「デジタル回路」に分類できる
電気回路と電子回路の大きな違いは、電気回路が「受動素子」のみで構成された回路、電子回路が「受動素子」と「能動素子」で構成された回路になります。
さらに、電子回路は「アナログ回路」と「デジタル回路」に分類することができます。
受動素子は、抵抗、コンデンサ、コイルなどが該当し、能動素子は、ダイオード、トランジスタ、オペアンプ、ICなどが該当します。詳しくは、「受動素子と能動素子の違い」で説明します。
また、それぞれの回路に使われている素子の特性から、電気回路は電気を「エネルギー」として考える回路、電子回路は電気を「信号(伝達手段)」として考える回路とも言うことができます。
例えば、スイッチを押すと白熱電球が点灯するのであれば電気回路、テレビやラジオなどアンテナで受信した電波から必要な信号を取り出して音声に変換するのであれば電子回路になります。
白熱電球はフィラメントと呼ばれる抵抗の一種(受動素子)が使われており、テレビやラジオでは、受動素子の他にダイオード、トランジスタ、オペアンプ、ICなどの能動素子が使われているからです。
ただ、現在、電気回路だけで構成される製品・システムは少なくなっており、電気回路と電子回路の境界はほとんどなくなってきています。
先程、例に挙げた「スイッチを押すと白熱電球が点灯する電気回路」であれば、白熱電球をLED電球に置き換えると、LED(発光ダイオード)は能動素子となるので、これまでの定義で考えれば電子回路となります。
このように、電気回路と電子回路の関係は曖昧になっており、大学や工業高専の電気科で学習する科目として区別する程度で良いかもしれません。
受動素子と能動素子の特徴
受動素子
- 抵抗
- コンデンサ
- コイル(インダクタ)
能動素子
- ダイオード
- トランジスタ
- オペアンプ
- IC
- 真空管
受動素子の特徴
受動素子は、電力の消費、電圧の蓄積・放出など供給源に対して受動的な影響を受ける素子です。抵抗、コンデンサ、コイル(インダクタ)などが当てはまります。
能動素子の特徴
能動素子は、電圧・電流の増幅や整流など供給源に対して能動的な影響を与える素子です。ダイオード、トランジスタ、オペアンプ、IC、真空管などが当てはまります。