Elecrowに基板を発注する方法
当記事では、海外プリント基板メーカーのElecrowに基板を発注する方法について詳しく解説します。
Elecrowは海外プリント基板メーカーの中ではコスパが良いのですが、対応言語が英語もしくは中国語になっています。
しかし、当記事を読んでいただければ、英語や中国語に自身がない方でも自力で基板発注することができると思います。
また、以下の記事でElecrowの他に、PCBgogoとseed studio/FusionPCBを紹介しています。この2つの基板メーカーは日本語対応しているので、英語や中国語が苦手な方はおすすめです。
ガーバーデータの準備
まずは基板発注に必要なガーバーデータを準備する必要があります。KiCadでのガーバーデータの生成方法は以下の記事をご覧ください。
また、今回、当記事で製造する基板は以下の記事で解説した「オペアンプ反転増幅回路」の同種面付け基板(捨て基板あり)になります。
- TOP LAYER(F.Cu):ファイル名.GTL
- BOTTOM LAYER(B.Cu):ファイル名.GBL
- SOLDER STOP MASK TOP(F.Mask):ファイル名.GTS
- SOLDER STOP MASK BOTTOM(B.Mask):ファイル名.GBS
- SILK TOP:ファイル名.GTO
- SILK BOTTOM(B.SilkS):ファイル名.GBO
- NC DRILL:ファイル名.TXT
- MECHANICAL LAYER(Edge.Cuts):ファイル名.GML
- 2層基板に必要なガーバーデータ
- INNER1 LAYER(In1.Cu):ファイル名.G1
- INNER2 LAYER(In2.Cu):ファイル名.G2
上記のようにガーバー形式で製造ファイル・ドリルファイルを用意します。
Elecrowの要求仕様に合わせてファイル名を変更します。詳しくは先程、説明した「2層基板に必要なガーバーデータ」を確認して下さい。
ファイル名を変更した後、ガーバーデータが入ったフォルダごとzip形式もしくはrar形式で圧縮します。
Elecrowに基板発注
まずは、以下のリンクからElecrow公式WEBサイトに移動します。
また、Elecrowを利用するにはアカウント登録が必要です。Elecrowのアカウント登録の詳しい方法は以下の記事をご覧ください。
画面右上の「SIGN IN」をクリックします。もしくは以下のリンクをクリックしてElecrow公式WEBサイトの「REGISTERED CUSTOMERS」ページに移動します。
「Email」と「Password」を入力して、「LOGIN」をクリックします。
「SERVICES」をクリックした後、「PCB Manufacturing」の「Regular Custom PCB」をクリックします。
「Add your Gerber」をクリックします。
先程、圧縮したガーバーデータを選択して、「開く」をクリックします。
デフォルトの状態から以下の箇所を変更します。同種面付けの基板であれば、捨て基板があったとしても異種面付け基板にはならないので、追加料金は発生しません。
- Dimensions:90x100mm
- PCB Qty:10
- Country:Japan
- Shipping Cost:OCS/ANA
PCB Qty(基板数量)は5枚と10枚でも同じ料金だったので、10枚を選択しました。また、Shipping Cost(配送業者)は料金と発送日数のバランスが良い「OCS/ANA」がおすすめです。
必要箇所の変更が終わったら、最後に「Add To Cart」をクリックします。
選択不可
- 材質:FR-4
- 最小パターン幅/間隔:6mil(0.1524mm)
- 最小穴径:0.3mm
- シルクカラー:白
選択可能
- Layer(層):1層/2層/4層/6層/8層
- Dimensions(基板サイズ):100x100まで追加料金無し
- PCB Qty(基板数量)
- Different PCB Design(異なる基板デザイン):捨て基板は含まない
- PCB Thickness(基板厚)
- PCB Color(基板色、レジストカラー)
- Surface Finish(表面処理):HASL(有鉛半田レベラー)/HASL Lead Free(鉛フリー半田レベラー)/Immersion gold OSP(プリフラックス)
- Castollated Hole(端面スルーホール)
- Copper Weight(銅箔厚):1oz.(35um)/2oz.(70um)
- PCB Stencil(メタルマスク)
- Production Time(製造期間):特急は追加料金
- Country(発送国):Japan(日本)を選択
- Shipping Cost(配送業者):OCN/ANAがおすすめ
- 基板の最小サイズは8x8mm
- 2つのVカット間の最小スペースは2mm
- 1.6mm厚の基板:Vカットラインは基板端と1mmの間隔が必要
- 1.0mm厚の基板:Vカットラインは基板端と0.7mmの間隔が必要
- VカットラインはGKOレイヤーまたはシルクスクリーンレイヤーに追加
- シルクスクリーンレイヤーにVカットラインがあることを明記
支払い方法を選択します。海外通販サイトでの支払いは「PayPal」がおすすめです。
また、PayPalで為替手数料を安くする方法は以下の記事をご覧ください。
Shipping Methodで「OCS/ANA Express」を選択して、「PLACE ORDER」をクリックします。
(すでに「HOW DOES ELECROW PCB WORK?」で「Shipping Cost」を選択していますが、再度この画面で選択する必要があります。おかしな仕様ですよね。。。)
なお、合計金額が2302.51円となっていますが、あくまで概算額です。実際は1979円でした。
画面に「Thank you!」が表示され、Elecrowから注文確認のメールが届きます。また、Elecrow公式WEBサイトのマイページで基板製造の進捗情報を確認することもできます。
Elecrowから基板到着
Elecrowに基板を発注して、約10日で基板が到着しました。国内の配達は佐川急便でした。
また、基板の発注量によっては関税が発生すると聞いたこともありますが、今回は基板代金と送料以外の費用は発生しませんでした。
(こちらがガーバーデータを一部、Elecrowに送り忘れて必要なデータを再送したため、基板製造の開始が少し遅れてしまいました。)
袋を開封すると上記のようなダンボールが出てきました。
さらにダンボールを開けてみると、エアキャップに包まれた基板と納品書が入っています。
基板はパックされており、当然ですが発注した仕様通りの基板となっていました。
細かい説明は省きますが思っていたより、かなり品質が良かったです。この品質で日本のプリント基板メーカーに発注するより、約1/10以下の料金になるので本当にコスパが良いですね。
Vカットも問題なくできました。