アナログ電子回路とは?

大企業と中小企業の回路設計エンジニアの違い

当記事では、「大企業(大手企業)と中小企業の回路設計エンジニアの違い」について、詳しく解説していきます。

ただ、あくまで大まかな違いを解説するものであり、実際はそれぞれの企業ごとに状況が異なります。

仕事の範囲の違い

大企業では、回路設計と一口に言っても、アナログ回路設計、デジタル回路設計、組み込みソフトウェア開発など細分化して、技術者(エンジニア)は狭い分野の設計を担当することが多いです。

なぜなら、その方が人材育成コストが安く、退職などによる人材の流動化に対応できるからです。

さらに、設計と言うより上流工程の管理業務が主な仕事になり、机上でのペーパーワークで設計仕様書をひたすら作成することになります。

設計仕様書を元に実際の回路設計を行うのは、外注先の会社もしくはその大企業の子会社になるのです。

外注先などから納品された動作チェックは行いますが、実際に手を動かして実験したり、プログラム作成したりすることがないので、どうしても面白みには欠けてしまいます。

一方、中小企業では人員的に大企業ほど余裕がないので、一人で仕様作成・回路設計・基板設計・動作テストなど一連の作業を行うことがほとんどだと思います。
(もちろん、中小企業でも、会社によっては基板設計など一部を外注先で行うこともあります。)

業務内容が広範囲に及び、電子回路設計を実験や試作などで試行錯誤でき、一人または少人数で製品開発にかかわれるので充実感が高くなります。

もちろん、企業にとっては、人材育成に時間がかかりますし、退職された時のダメージは大きくなってしまいますが、人員的な余裕がない以上、おのずとこのような方針になると思います。

「アナログ回路とデジタル回路の違い」については、以下の記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。

キャリアの違い

日本の場合、大企業に新卒で技術職として入社すると、将来の幹部候補生として、一つの部門で専門性を高めるのではなく、一定の年数ごとで複数の部門を経験させてから管理職に登用することが多いです。

基本的に日本の技術職は、専門職(スペシャリスト)ではなく総合職(ゼネラリスト)が求められており、大学院卒の採用は「修士課程卒」という意味になります。

結局のところ、博士課程卒だと企業にとって専門知識を持ちすぎているため、コントロールしづらいというのが理由のようです。

特に回路設計に限らず、技術者として設計の仕事を目指している方にとっては、専門職として技術スキルを高めたいと考えている方が多いと思います。

さすがに、その企業独自のコア技術については社内で開発が行われますが、回路設計となると、「仕事の範囲の違い」で述べたとおり、ほとんどが外注に出されるので、管理業務が中心となってしまいます。

さらに、管理職に昇進すると、そのような管理業務中心の設計の仕事であっても離れることになるので、生涯技術者として働くのが難しいのが現状です。

中小企業でも数百人程度などとある程度の規模があれば、大企業と同様に複数の部門を経験させるのは同様です。もちろん、社員が数人しかいないような零細企業となると、社長になっても設計業務を行っていることもありますが、キャリアパスというより単なる人手不足からです。

年収・福利厚生の違い

年収・福利厚生と言った面では、日本の場合、圧倒的に大企業の方が中小企業より有利になるパターンが多いです。

なぜなら、日本では、海外と異なり「就職」ではなく、「就社」という考え方が一般的だからです。

つまり、海外では、職種が同じであれば、報酬や労働環境が大体、同じになりますが、日本では、会社によって、報酬や労働環境が大きく異なるのです。

また、確かに大企業の方が、年収・福利厚生の面では有利にはなるのですが、大抵は複数の事業所・工場を持っているため、転勤命令を出された時に困ってしまうという問題があります。

特に配偶者がいるとなると、数年ごとに転勤が発生するようでは、配偶者が継続してフルタイムの仕事を続けるのが困難なため、世帯年収が減少してしまいます。

もちろん、単身赴任やリモートワークといった手段もあるかもしれませんが、労働者側が大きな負担となっているのは間違いありません。

まとめ:大企業と中小企業のどちらが良いのか?

これまで解説してきた「大企業と中小企業の回路設計者の違い」は、あくまで大まかな解説なので、実際はそれぞれの企業ごとに状況は異なります。

例えば、ある大企業の医療機器メーカーでは、製品担当制となっているので、幅広い設計業務を経験できますし、中小企業でも年収・福利厚生が充実しているところもあります。

また、今まで社内で設計仕様書の作成など主に管理業務しか行っていなかった大企業では、技術スキルの蓄積が全くできていないことが問題になっています。

当サイト管理人が聞いた話でも、技術のない人が設計仕様書を書いて外注先に丸投げするので、完成品にトラブルが多発してしまい、今まで設計業務を行っていた大企業の子会社から技術者を引き抜いた例もあります。

実際に当サイト管理人が勤務した企業でも、VHDLやPLCなど外注先で依頼した設計業務を社内で行うようになりました。

さらに、困るのは企業だけでなく、実際にそこで働く技術者たちです。いくら座学で調理方法を学んでも、おいしい料理が作れないように、回路設計の技術スキルは、実際に手を動かして試作や実験を繰り返さないと向上しません。

いくら大企業で年収・福利厚生が優れていたとしても、倒産やリストラが珍しくない時代です。近年でも、実際に大手電力会社や大手メーカーが破綻して人員整理が行われています。

もし、現在、働いている会社の労働環境が合わず、転職を検討しているようでしたら、モノづくりエンジニア専門の転職エージェントなども活用してみるのも良いかもしれません。

エンジニア専門の転職支援はメイテックネクスト
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