LTspiceのシミュレーション

LTspice-波形ビューワ(Waveform Viewer)の使い方

当記事では、LTspiceの波形ビューワ(Waveform Viewer)の使い方について詳しく説明します。

波形ビューワ(Waveform Viewer)はLTspiceで実行したシミュレーション結果をグラフとして表示する機能です。オシロスコープでの測定をイメージするとわかりやすいと思います。

なお、シミュレーションで可能な解析の種類については、以下の記事をご覧ください。

波形ビューワ(Waveform Viewer)を使うには?

LTspiceで波形ビューワ(Waveform Viewer)を使うには、LTspiceで作成した回路でシミュレーションを実行する必要があります。

当記事では、以下の回路を例題にして波形ビューワ(Waveform Viewer)を説明することにします。

ツールバーの「Run」をクリックするとシミュレーションが開始され、自動的に波形グラフ表示画面が表れます。

当記事で使用する回路図は以下のリンクからダウンロードできます。

プローブでの波形表示

以下の種類のプローブを使って電圧・電流・電力を簡単に波形表示することができます。

プローブの種類

アイコン プローブ名 説明
電圧プローブ カーソルを回路図の結線に近づけるとテスタの端子の形をした「電圧プローブ」が表示されます。
電流プローブ カーソルを回路図の部品に移動させるとクランプメータの形をした「電流プローブ」が表示されます。
また、Altキーを押しながら回路図の結線に移動しても同様に電流プローブが表示されます。
電力計 Altキーを押しながらカーソルを回路図の部品に移動させると温度計の形をした「電圧計」が表示されます。


なお、以下のように解析の種類によっては一部のプローブが使用できない場合もあります。当記事ではトランジェント解析を例に説明していきます。

プローブを使用できる解析

解析方法 電圧プローブ 電流プローブ 電力計
トランジェント解析
(.tran)
AC解析
(.ac)
×
DCスイープ解析
(.dc)
ノイズ解析
(.noise)
×
×
DC伝達関数解析
(.tf)
×
×
×
DC動作点解析
(.op)
×
×
×
温度解析
(.temp)
×

電圧

回路図の結線にカーソルを近づけると、電圧プローブに切り替わります。

今回は、「OUTPUT」の電圧波形を電圧プローブを使って表示してみます。

カーソルを「OUTPUT」の結線に近づけると、電圧プローブに切り替わるので、そのままマウスの「左クリック」をします。

すると、波形グラフ表示画面に「OUTPUT」の電圧波形とノード名が表示されます。

部品の両端の電圧表示1

部品の両端の電圧を表示させたい場合は、注意が必要です。例えば、R1の両端の電圧を表示させたいと思って、R1の左側を電圧プローブでクリックすると、GNDが基準点なので、R1とR2に印加される電圧を表示してしまいます。

部品の両端の電圧表示2

R1の両端の電圧を表示させるには、R1の片方の端子をマウスで「左クリック」したまま、R1のもう片方の端子に移動して離す必要があります。

この時、電圧プローブが「赤」から「黒」に切り替わるのがわかると思います。この黒の電圧プローブが基準点となります。

電流

回路図の部品にカーソルを移動すると、電流プローブに切り替わります。また、回路図の結線に「Alt」キーを押したままカーソルを移動すると、同様に電流プローブに切り替わります。

今回は、「R2」に流れる電流波形を電流プローブを使って表示してみます。

カーソルを「R2」に移動させると、電流プローブに切り替わるので、そのままマウスの「左クリック」をします。

すると、波形グラフ表示画面に「R2」の電流波形とノード名が表示されます。

電力

回路図の部品に「Alt」キーを押したままカーソルカーソルを移動すると、電力計に切り替わります。

今回は、「R2」の電力波形を電力計を使って表示してみます。

カーソルを「R2」に移動させると、電力計に切り替わるので、そのままマウスの「左クリック」をします。

すると、波形グラフ表示画面に「R2」の電力波形とノード名が表示されます。

その他の波形表示

プローブでの波形表示以外にも「Visible Traces」または「Add trace」で波形を表示することができます。

Visible Traces

「Visible Traces」ではノード名を選択することで波形を表示させることができます。

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、ツールバーの「Pick Visible Traces」をクリックします。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「Plot Settings」-「Visible Traces」をクリックしても大丈夫です。)

2

「Select Visible Waveforms」が表示されるので、波形を表示したいノード名を選択します。

今回は「V(output)」と「V(vin)」表示させるので、「Ctrlキー」を押しながら「V(output)」と「V(vin)」をクリックします。

ノード名選択後、「OK」をクリックします。

3

波形グラフ表示画面に「V(output)」と「V(vin)」の電圧波形とノード名が表示されます。

Add trace

「Add trace」では「Visible Traces」と同様にノード名を選択することで波形を表示させることができ、演算式を入力することができます。

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「Plot Settings」-「Add Trace」をクリックします。

2

「Add Traces to Plot」が表示されるので、波形を表示したいノード名を選択します。また、演算式を入力することも可能です。

今回は、「V(output)*I(R2)」を入力して、R2の電力波形を表示してみます。入力後、「OK」をクリックします。

3

波形グラフ表示画面に「V(output)*I(R2)」(R2の電力)の電力波形とノード名が表示されます。

波形の拡大・縮小

ツールバーのコマンドやグラフの目盛り設定により、波形の拡大・縮小することができます。

範囲を指定して拡大(Zoom to Rectangle)

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、「Zoom to rectangle」をクリックして、マウスの左ボタンを押しながら拡大したい範囲を指定します。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「View」-「Zoom Area」をクリックしても大丈夫です。)

2

上図のように指定範囲が拡大されます。

表示の基準(Pan)

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、「Pan」をクリックして、表示の基準にしたい箇所をクリックします。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「View」-「Pan」をクリックしても大丈夫です。)

2

上図のように、マウスでクリックした箇所がY軸の中心になります。

縮小(Zoom back)

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、「Zoom back」をクリックします。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「View」-「Zoom back」をクリックしても大丈夫です。)

2

上図のように、波形が縮小されます。

全体表示(Zoom to extents)

1

波形グラフ表示画面をアクティブにして、「Zoom to extents」をクリックします。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「View」-「Zoom to Fit」をクリックしても大丈夫です。)

2

上図のように波形全体が表示されるようになります。

Y軸の設定(Vertical Axis)

1

カーソルをY軸(縦軸)に移動させると、カーソルが定規にかわるので、そのままマウスで「右クリック」をします。

2

「Vertical Axis」の画面が表れるので、Y軸(Vertical Axis)の目盛りを任意で設定することができます。

今回は「Tick:100mV」、「Bottom:0V」を入力してみます。

Vertical Axisの設定
  • Top:目盛りの上側最大値
  • Tick:目盛りの間隔
  • Bottom:目盛りの下側最小値
3

入力後、「OK」をクリックします。

4

上図のように、Y軸の目盛りが変更され、目盛りに合わせて波形の表示が変わります。

X軸の設定(Horizontal Axis)

1

カーソルをX軸(横軸)に移動させると、カーソルが定規にかわるので、そのままマウスで「右クリック」をします。

2

「Horizontal Axis」の画面が表れるので、X軸(Horizontal Axis)の目盛りを任意で設定することができます。

今回は「Left:5ms」、「Tick:0.5ms」を入力してみます。

Horizontal Axisの設定
  • Left:目盛りの左側最小値
  • Tick:目盛りの間隔
  • Right:目盛りの右側最大値
3

入力後、「OK」をクリックします。

4

上図のように、X軸の目盛りが変更され、目盛りに合わせて波形の表示が変わります。

波形の消去

Expression Editorまたはツールバーの「Cut」で波形を消去することができます。

Expression Editorからの消去

1

カーソルを波形グラフ表示画面のノード名に移動させると、カーソルが指マークにかわるので、そのままマウスで「右クリック」をします。

今回は、V(OUTPUT)*I(R2)の電力波形を消去してみるので、V(OUTPUT)*I(R2)のノード名でマウスの「右クリック」をします。

2

「Expression Editor」が表れるので、「Delete this Trace」をクリックします。

3

波形グラフ表示画面を確認すると、V(OUTPUT)*I(R2)の電力波形を消去されたのがわかります。

Cutを使った消去

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波形グラフ表示画面をアクティブにして、ツールバーの「Cut」をクリックします。
(波形グラフ表示画面をアクティブにして、メニューバーの「Plot Settings」-「Delete Traces」をクリックしても大丈夫です。)

後はハサミマーク(カーソル)を消去したいノード名に移動させてマウスで「左クリック」するだけです。

今回は、V(OUTPUT)*I(R2)の電力波形を消去してみるので、V(OUTPUT)*I(R2)のノード名でマウスの「左クリック」をします。

2

波形グラフ表示画面を確認すると、V(OUTPUT)*I(R2)の電力波形を消去されたのがわかります。

カーソルでの計測

1

マウスカーソルを波形グラフ表示画面のノード名に移動させると、マウスカーソルが指マークにかわるので、そのままマウスで「右クリック」をします。

今回は、V(OUTPUT)の波形をカーソル(マーカー)で計測してみるので、V(OUTPUT)のノード名でマウスの「右クリック」をします。

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「Attached Cursor」でカーソルを「1st」、「2nd」、「1st&2nd」から選ぶことができます。

まずは「1st」のカーソルを選択し「OK」をクリックしてみます。

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見づらいですが、波形グラフ表示画面にカーソルが表示され、マウスカーソルをカーソルに移動させるとカーソル番号である「1」の数字が表示されます。

また、「カーソルの測定値が表示する画面」が表示されます。選択したカーソルは「1st」なので、カーソル1の測定値のみ表示されています。

カーソルを動かすには、カーソルの番号が表れたらマウスの「左クリック」を押したまま移動させるとカーソルも一緒に動きます。

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次に「1st&2nd」のカーソルを選択し「OK」をクリックしてみます。

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「1st&2nd」のカーソルを選択したので、波形グラフ表示画面に2つのカーソルーが表示されます。「カーソルの測定値が表示する画面」で2つのカーソルの差分測定が表示されるようになります。

また、今回は1つの波形に対して「1st」と「2nd」の2つのカーソルを選択しましたが、別々の2つの波形に対して「1st」、「2nd」をそれぞれ選択することも可能です。もちろん、差分測定をすることもできます。

カーソルの測定値

  • Cursor1
    • Horz:カーソル1のX軸(水平軸)
    • Vert:カーソル1のY軸(垂直軸)
  • Cursor2
    • Horz:カーソル2のX軸(水平軸)
    • Vert:カーソル2のY軸(垂直軸)
  • Diff(Cursor2 – Cursor1)
    • Horz:X軸の(カーソル2-カーソル1)の差分
    • Vert:Y軸の(カーソル2-カーソル1)の差分
    • Freq:(カーソル2-カーソル1)の周波数
    • Slope:(カーソル2-カーソル1)の傾き

ただし、カーソルを動かしての計測になるので、切りのいい数字に合わせるのが大変で細かい計測には向きません。
(カーソルの測定値を表示する画面で数字を入力してカーソルを動かすことはできません。)

より簡単に細かく計測したい場合は、「.measure」コマンドでの計測の方が良いでしょう。

「.measure」コマンドでの計測

「.measure」コマンドでの計測は、波形ビューワのカーソル機能を使うより簡単に、電圧や電流の値を測定することができます。

以下の記事に「ドットコマンド「.measure」(測定)の使い方」をまとめましたので、ぜひご覧ください。

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