LTspiceのSPICEモデル

LTspiceのファイル・フォルダ構成とSPICEモデルの種類

当記事はLTspiceの回路図やシミュレーションに使用するSPICEモデルの基礎知識として、LTspiceのフォルダ・ファイル構成とSPICEモデルの種類について詳しく解説します。

SPICEモデルは簡単に言えば、LTspice上での電子部品のことです。初心者の方で、標準で格納されているアナログ・デバイセズ以外の各メーカーが提供しているSPICEモデルや自作のSPICEモデルを使いたいとなると、まず初めにこれから紹介するSPICEモデルの基礎知識を覚えていただきたいと思います。

LTspiceのフォルダ・ファイル構成

SPICEモデルの話に入る前に、後々混乱しないように、まずは最新版のLTspiceXVIIのフォルダ・ファイル構成について理解しておきましょう。

LTspiceのフォルダ・ファイル構成
  • C:\Users\USER\Documents\LTspiceXVII
    • \examples:例題の回路図ファイルが格納
    • \lib
      • \cmp:データファイルを格納
        • \standard.res:抵抗
        • \standard.cap:コンデンサ
        • \standard.ind:コイル
        • \standard.bead:フェライトビーズ
        • \standard.dio:ダイオード
        • \standard.bjt:バイポーラトランジスタ
        • \standard.jft:J-FET
        • \standard.mos:MOS-FET
      • \sub:subファイルとlibファイルを格納
        • \*.sub:subファイル
        • \*.lib:libファイル
      • \sym:回路図シンボルファイルを格納
        • \*.asy:回路図シンボル

特にlibフォルダを構成しているcmpフォルダ、subフォルダ、symフォルダとその傘下のファイルはSPICEモデルを理解する上で重要ですので、次の「SPICEモデルの種類」で詳しく説明します。

SPICEモデルの種類

SPICEモデルには大きくわけて、「デバイスモデル(パラメータモデル)」と「サブサーキットモデル(等価回路モデル)」の2種類があります。

SPICEモデルの種類
  • デバイスモデル(パラメータモデル):SPICE記述言語(ネットリスト)の表記が「.model」で始まる
  • サブサーキットモデル(等価回路モデル):SPICE記述言語(ネットリスト)の表記が「.subckt」で始まる

デバイスモデル(パラメータモデル)

デバイスモデル(パラメータモデル)はSPICE記述言語(ネットリスト)の表記が「.model」で始まり、モデルパラメータのみで表現されたSPICEモデルです。

モデルパラメータだけで電気的特性を表現しているので、サブサーキットモデル(等価回路モデル)と比較すると、精度には限界があります。

LTspiceではcmpフォルダに以下のようにデバイスモデルである8種類のデータファイルが格納されています。

デバイスモデルの種類
  • 受動部品
    • standard.res:抵抗
    • standard.cap:コンデンサ
    • standard.ind:コイル
    • standard.bead:フェライトビーズ
  • 能動部品
    • standard.dio:ダイオード
    • standard.bjt:バイポーラトランジスタ
    • standard.jft:J-FET
    • standard.mos:MOS-FET

また、これらのデバイスモデルは回路図で使用できるように、データファイルがsymフォルダの回路図シンボルファイル(*.asy)と関連付けられています。

デバイスモデル(.model)の追加方法は、以下の記事をご覧ください。

サブサーキットモデル(等価回路モデル)

サブサーキットモデル(等価回路モデル)はSPICE記述言語(ネットリスト)の表記が「.subckt」で始まり、等価回路を組み合わせて表現されたSPICEモデルです。

LTspiceではsubフォルダにサブサーキットモデルであるsubファイルとlibファイルが格納されており、それ以外にもサブサーキットモデルとして提供されているファイルは複数の拡張子が存在します。

サブサーキットモデルの種類
  • *.sub:最も基本的なファイル形式
  • *.lib:複数のSPICEモデルファイルで構成(デバイスモデル含む)
  • *.mod:libファイルと同等
  • *.cir:libファイルと同等
  • *.txt:このままでは使用できないので拡張子を「.lib」に変更が必要

各部品メーカーが提供するサブサーキットモデルは、ほとんどが「.lib」の拡張子なのですが、上記のように複数の拡張子で提供されている場合もあります。

ただ、基本的に使い方は同じで、subフォルダに格納することでSPICEモデルとして使用することができます。

また、これらのサブサーキットモデルは回路図で使用できるように、subファイルやlibファイルがsymフォルダの回路図シンボルファイル(*.asy)と1対1で関連付けられています。

サブサーキットモデル(.subckt)の追加方法は、以下の記事をご覧ください。

紛らわしいlibファイル

拡張子が「*.lib」のlibファイルはサブサーキットモデルの他にデバイスモデルの場合もあります。

そのため、libファイルをメモ帳などで開いて、SPICE記述言語(ネットリスト)の表記からデバイスモデルかサブサーキットモデルを判別する必要があります。

LTspice以外に様々な回路シミュレータがあり、以下のように回路シミュレータごとの拡張子が存在します。

  • PSPICEの拡張子:*.net *.olb
  • TSPICEの拡張子:*.sp
  • Spectreの拡張子:*.scs
  • など

これらの拡張子のファイルはLTspiceでは使用できませんのでご注意ください。

テキストのコピーはできません。