LTspiceのシミュレーション

LTspice-ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチの使い方

当記事では、LTspiceで使用できる「ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチ」の使い方について詳しく解説します。

電圧制御スイッチ(Voltage controlled switch)のヒステリシス特性とは?

以下の記事で、電圧制御スイッチ(Voltage controlled switch)の基本的な使い方について紹介しました。

実は、この電圧制御スイッチにヒステリシス特性を持たせることが可能で、構文は以下のようになります。

.Model モデル名 SW(Ron=オン抵抗値 Roff=オフ抵抗値 Vt=電圧のしきい値 Vh=電圧のヒステリシス値)

電圧制御スイッチの+と-端子に入力される電圧が、「電圧のしきい値-ヒステリシス値」を下回る(LOW LEVEL)とオフ抵抗値になり、「電圧のしきい値+ヒステリシス値」を上回る(HIGH LEVEL)とオン抵抗値なります。

ちなみに、「Vh=電圧のヒステリシス値」は省略することが可能で、省略した場合、電圧のヒステリシス値=0Vととなり、ヒステリシス特性がない電圧制御スイッチになります。

例として、モデル名:SW_1、オン抵抗値:1mΩ、オフ抵抗値:100MΩ、電圧のしきい値:5V、電圧のヒステリシス値:2Vとすると、構文は以下のようになります。

.Model SW_1 SW(Ron=1m Roff=100Meg Vt=5 Vh=2)

つまり、電圧制御スイッチの+と-端子に入力される電圧が、「3V(5V-2V)」を下回る(LOW LEVEL)とオフ抵抗値になり、「7V(5V+2V)」を上回る(HIGH LEVEL)とオン抵抗値なります。

ヒステリシス特性のある電流制御スイッチ

もちろん、電流制御スイッチにもヒステリシス特性を持たせることは可能です。構文は以下のようになります。

.Model モデル名 SW(Ron=オン抵抗値 Roff=オフ抵抗値 It=電流のしきい値 Ih=電流のヒステリシス値)

例として、モデル名:SW_1、オン抵抗値:1mΩ、オフ抵抗値:100MΩ、電流のしきい値:5A、電流のヒステリシス値:2Aとすると、構文は以下のようになります。

.Model SW_1 SW(Ron=1m Roff=100Meg It=5 Ih=2)

電圧制御スイッチの構文と比較すると、「V」が「I」に変わるだけなので、それほど難しくはありませんね。

ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチのシミュレーション

以下の記事で上記の「ヒステリシス特性のない電圧制御スイッチの回路」を作成したので、この回路を修正してヒステリシス特性のある電圧制御スイッチのシミュレーションをしてみましょう。

ヒステリシス特性のない電圧制御スイッチの回路は以下のリンクからダウンロードできます。

パルス波

まずは「パルス波」をヒステリシス特性のある電圧制御スイッチに印加するシミュレーションをしてみます。

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「01_Voltage-controlled-switch.asc」を開いて、「.MODELの構文」をマウスで右クリックします。

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「.MODELの構文」を以下のように「Vh=2」を加えて修正します。

.Model SW_1 SW(Ron=1m Roff=100Meg Vt=5 Vh=2)

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「Run」をクリックして、シミュレーションを実行します。

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V(in)が0Vの時、電圧制御スイッチに設定したしきい値5Vを下回るため、電圧制御スイッチの抵抗値が100MΩとなり、V(output)は0Vとなりました。

また、V(in)が10Vの時、電圧制御スイッチに設定したしきい値5Vを上回るため、電圧制御スイッチの抵抗値が1mΩとなり、V(output)は10Vとなりました。

このような結果になったのは、電圧制御スイッチにヒステリシス特性を持たせましたが、電圧制御スイッチに印加したパルス波の立ち上がり時間と立下り時間が短くLOW/HIGHレベルの瞬時に切り替わってしまうので、V(output)にヒステリシス特性が表れないのです。

今回、ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチのシミュレーション(パルス波)に使用した回路図は以下のリンクからダウンロードできます。

三角波

次は立ち上がり時間と立下り時間が長い「三角波」で、ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチに印加するシミュレーションをしてみます。

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先程の「パルス波」で使用した回路図から修正します。「V2」をマウスで右クリックします。

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「PWL」を選択し、「time1[s]:0、value1[V]:0、time2[s]:5m、value2[V]:10、time3[s]:10m、value3[V]:0」を入力します。

これで、0Vから10Vまで5msecで立ち上がり、10Vから0Vまで5msecで立ち下がる三角波に設定することができます。

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「Run」をクリックして、シミュレーションを実行します。

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V(in)が0Vから7Vになると、V(output)が立ち上がり、V(in)が10Vから7Vになると、V(output)が立ち下がっているのがはっきりとわかります。

つまり、.MODELの構文で「Vh=2」と電圧のヒステリシス値を設定してあるので、V(output)は7V(Vt+Vh)でRon=1mΩとなり、電圧が立ち上がります。

また、V(output)は3V(Vt-Vh)でRon=100MΩとなるので、電圧が立ち下がるということになります。

今回、ヒステリシス特性のある電圧制御スイッチのシミュレーション(三角波)に使用した回路図は以下のリンクからダウンロードできます。

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