Arduinoボード9種類を徹底比較

当記事では、様々な種類のArduinoボードを比較して、どれが自分にとって最適なのかわかりやすく解説します。
また、他サイトの記事では生産中止または日本で入手困難なArduinoボードまで掲載している事が多いですが、当記事では日本で入手しやすい9種類に絞って紹介していきます。
Arduinoボードのカテゴリとは?
現在、Arduinoボードは初期と比べると種類がかなり多くなってきました。
そのため、まずはArduinoボードと特徴を抑えておくと、自分にとってどれが最適なのか探しやすくなるはずです。
カテゴリ | 特徴 |
---|---|
UNO | 初心者向けの定番ボードである「Uno R3」と、その後継機「Uno R4」を含むカテゴリです。最も広く使われ、学習用や基本的な電子工作に適しています。 |
GIGA | 「Giga R1 WiFi」など、高性能なマイクロコントローラーを搭載したボード群です。 より複雑なグラフィックス表示や、高度な処理能力が求められるプロジェクト向けです。 |
Nano | 小型でブレッドボードに挿しやすいボード群です。 スペースが限られたプロジェクトやウェアラブルデバイスに適しています。 |
MKR | IoT (モノのインターネット)に特化したボード群です。 Wi-Fi、Bluetooth、LoRaWANなどの通信機能を標準で搭載しており、ネットワーク接続が必要なプロジェクトに適しています。 |
Portenta | AIや産業用途向けに開発された、非常に高性能で信頼性の高いボードです。 機械学習、高度なプロトタイピング、産業制御などに使われます。 |
Nicla | 超小型で低消費電力なボードです。 エッジAIや高度なセンサーフュージョン(複数のセンサー情報を統合すること)を必要とするアプリケーション向けです。 |
Modulino | 産業用オートメーションや制御システム向けのモジュール式ボード群です。 DINレールにマウント可能で、工業用途のプロジェクト向けに設計されています。 |
個人用途であれば、まずは「UNO」、「Nano」の中からArduinoボードを選ぶことになると思います。
さらに高性能なボードであれば「GIGA」、IoTに特化したボードであれば「MKR」も選択肢に入ってきます。
他のカテゴリのArduinoボードについては、用途が産業・工業用、価格が高い、日本での入手が困難などの理由で個人で使う機会は少ないでしょう。
UNO
仕様 | Arduino Uno R4 Minima | Arduino Uno R4 WiFi | Arduino Uno | Arduino Leonardo | Arduino Micro | Arduino Due |
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基板サイズ | 68.85×53.34mm | 68.85×53.34mm | 74.9×53.3mm | 74.9×53.3mm | 48.2×17.8mm | 101.6×53.3mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | Renesas RA4M1 (Arm Cortex-M4)/ 48MHz | Renesas RA4M1 (Arm Cortex-M4)/48MHz Espressif ESP32-S3 (Cadence Xtensa LX7) | ATmega328P/ 16MHz | ATmega32U4/ 16MHz | ATmega32U4/ 16MHz | AT91SAM3X8E/ 84MHz |
RAM | 32kB/RA4M1 | 32kB RAM/RA4M1 512kB SRAM/ESP32-S3 | 2kB/ATmega328P | 2.5kB/ATmega32U4 | 2.5kB/ATmega32U4 | 96kB/AT91SAM3X8E |
ROM | 256kB Flash/RA4M1 ※プログラムを保存 | 256kB Flash/RA4M1 ※プログラムを保存 384kB ROM/ESP32-S3 | 32kB Flash/ATmega328P ※プログラムを保存 | 32kB Flash/ATmega32U4 ※プログラムを保存 | 32kB Flash/ATmega32U4 ※プログラムを保存 | 512kB Flash/AT91SAM3X8E ※プログラムを保存 |
EEPROM | 8kB | 8kB/RA4M1 | 1kB | 1kB | 1kB | - |
動作電圧 | +5V | +5V | +5V | +5V | +5V | +3.3V |
電源入力電圧 | +6~+24V | +6~+24V | +7~+12V | +7~+12V | +7~+12V | +7~+12V |
出力電圧 | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 20本 | 20本 | 20本 | 20本 | 24本 | 54本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 6本 | 6本 | 6本 | 7本 | 7本 | 12本 |
アナログ入力 | 6本 | 6本 | 6本 | 12本 | 12本 | 12本 |
アナログ出力 (DAC) | 1本 | 1本 | - | - | - | 2本 |
オペアンプ | 1個 | 1個 | - | - | - | - |
端子の定格電流 | 8mA/各端子 | 8mA/各端子 | 40mA/各端子 | 40mA/各端子 | 40mA/各端子 | 130mA/全端子 |
プログラム 書き込み端子 | USB Type-C SWD | USB Type-C SWD(ESP32経由) | USB Type-B ICSP | Micro USB Type-B ICSP | Micro USB Type-B ICSP | Micro USB Type-B Micro USB Type-AB ICSP |
インターフェース | UART I2C SPI CAN | Wi-Fi(802.11 b/g/n Max.150 Mbps 2.4 GHz) Bluetooth 5 UART I2C SPI CAN Qwiic | UART I2C SPI | UART I2C SPI | UART I2C SPI | UART I2C SPI CAN USB |
その他 | RTC USB-HID ICSP SWD | RTC USB-HID ランタイムエラー診断 VRTC(RTCバックアップバッテリー) OFF(ボード電源ON/OFF制御) ICSP ESP Header SWD(ESP32経由) | - | - | - | - |
「UNO」は入門用で、電子工作初心者・マイコン初心者に最適なArduinoボードです。旧機種を含めてラインナップは豊富ですが、基本的に「Arduino Uno R4 Minima」もしくは「Arduino Uno R4 WiFi」から選ぶのがおすすめです。
Arduinoボードの詳しい電源供給方法は以下の記事をご覧ください。

Arduino Uno R4 Minima


『Arduino Uno R4 Minima』は、20種類以上の数あるエディションの中で、最も代表的かつ基本的なエディションです。
Arduino Uno R3の後続機種で、マイコン・メモリなどの基本スペック向上やDAC、オペアンプ、CANなど新機能も追加されています。
以下の記事ではArduino Uno R4 Minimaの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Uno R4 WiFi

『Arduino Uno R4 WiFi』は、Arduino Uno R4 Minimの基本性能に、ワイヤレス通信機能(Wi-Fi/Bluetooth)が加わった上位エディションです。
ワイヤレス通信機能により、Arduino IoT Cloud との連携が容易になり、複雑なサーバー構築やネットワーク設定の知識がなくても、手軽にIoTプロジェクトを始めることができます。
その他にも、12x8ドットのLEDマトリックス、ランタイムエラー診断の機能やQwiicコネクタ、VRTC/OFF/GNDヘッダが加わっています。
以下の記事ではArduino Uno R4 WiFiの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Uno

Arduino Uno R4 Minima/Arduino Uno R4 WiFiが登場する前までは、これから初めてArduinoを扱う電子工作初心者にとって、一番、おすすめなのが、『ARDUINO UNO REV3(Arduino Uno)』にでした。
Arduino Uno R3に限らず、Arduino Unoシリーズは最も代表的かつ基本的なエディションなので、供給数が多く入手も容易ですし、シンプルな機能に絞ってあるので、初心者にとっても扱いやすいと思います。
旧機種となってしまった現在では、Arduino Uno R4 Minima/Arduino Uno R4 WiFiの方を選んだ方が良いでしょう。
以下の記事ではArduino Uno R3の仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Leonardo

『Arduino Leonardo』は、Arduino Uno R3に搭載しているマイコンを「ATmega328P」から「ATmega32U4」に変えたタイプで、USB-シリアルを変換するチップが不要になっています。
加えて、Arduino Uno R3に比べて、デジタル入出力ピンとアナログ入力ピンが増え、USB端子はMicro-Bに変更されています。それ以外は、Arduino Uno R3とほぼ同じ仕様・機能になります。
また、「ピンソケット、ICSPピンヘッダ、DCジャック」が実装されていないエディションも販売されています。
現在ではArduino Uno R3と同様、旧機種として位置づけられているため、Arduino Uno R4 Minima/Arduino Uno R4 WiFiの方を選んだ方が良いでしょう。
以下の記事ではArduino Leonardoの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Micro

『Arduino Micro』は、Arduino Uno R3に比べて小さくなっており、ピンヘッダが実装されているので、そのままブレッドボードに差し込んで利用することもできます。
(ピンヘッダが実装されていないタイプも発売されています。)
端子は「デジタル入出力⇒アナログ入力」、「アナログ入力⇒デジタル入出力」に、それぞれ切り替えることができるので、デジタル入出力は最大24本、アナログ入力は最大12本使うことができます。
ただ、現在では、小型のArduinoボードとして、ラインナップが充実しているNANOから選んだ方が良いでしょう。
以下の記事ではArduino Microの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Due

『Arduino Due』はマイコンに32 bitのARM coreを搭載しており、クロック周波数が84MHzと高くArduino Mega 2560と比べて、高速処理が可能です。
他のArduinoボードと違って動作電圧が+3.3Vとなっており、間違えて入力端子に+5Vを加えてしまうと壊れてしまう可能性があるので注意が必要です。
なぜGIGAではなくUNOのカテゴリに入っているのは不明ですが、今では、よりスペックの高い『Arduino Giga R1 WiFi』を選んだ方が良いでしょう。
以下の記事ではArduino Dueの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

GIGA
仕様 | Arduino Mega 2560 |
---|---|
基板サイズ | 101.52×53.3mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | ATmega2560/ 16MHz |
RAM | 8kB/ATmega2560 |
ROM | 256kB Flash/ATmega2560 ※プログラムを保存 |
EEPROM | 4kB |
動作電圧 | +5V |
電源入力電圧 | +7~+12V |
出力電圧 | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 54本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 15本 |
アナログ入力 | 16本 |
アナログ出力 (DAC) | - |
端子の定格電流 | 20mA/各端子 |
プログラム 書き込み端子 | USB Type-B ICSP |
その他 インターフェース | UART I2C SPI |
「GIGA」は高性能なマイクロコントローラーを搭載したボード群です。より複雑なグラフィックス表示や、高度な処理能力が求められるプロジェクト向けです。
Arduinoボードの詳しい電源供給方法は以下の記事をご覧ください。

Arduino Mega 2560

『Arduino Mega 2560』はArduino Uno R3と比較してメモリやI/Oを増量したエディションです。たくさん入出力端子を使いたい場合は、こちらがおすすめです。
登場した当初は高性能なArduinoボードの位置づけでしたが、今では、よりスペックの高い『Arduino Giga R1 WiFi』を選んだ方が良いでしょう。
以下の記事ではArduino Mega 2560の仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Nano
仕様 | Arduino Nano Every | Arduino Nano |
---|---|---|
基板サイズ | 43.2×17.8mm | 43.2×17.8mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | ATMega4809/ 20MHz | ATmega328P/ 16MHz |
RAM | 6kB/ATMega4809 | 2kB/ATmega328P |
ROM | 48kB Flash/ATMega4809 ※プログラムを保存 | 32kB Flash/ATmega328P ※プログラムを保存 |
EEPROM | 256byte | 1kB |
動作電圧 | +5V | +5V |
電源入力電圧 | +7~+12V | +7~+12V |
出力電圧 | +5V、+3.3V | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 20本 | 20本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 5本 | 6本 |
アナログ入力 | 8本 | 8本 |
アナログ出力 (DAC) | - | - |
端子の定格電流 | 20mA/各端子 | 40mA/各端子 |
プログラム 書き込み端子 | Micro USB Type-B | Mini USB Type-B ICSP |
その他 インターフェース | UART I2C SPI | UART I2C SPI |
Arduino Nano Every

『Arduino Nano Every』は、旧製品のArduino Nanoと同じ形状・フットプリントで、高性能・低価格になったエディションです。
旧製品のArduino Nanoと比較して、マイコンの動作周波数、SRAM、Flashメモリの容量が増えており、USBポートが、よく使われている「Mini USB Type-B」に変更されています。
一方、EEPROMの容量が減少したり、PWM出力の本数が5本に減っていたりと多少、改悪されている部分があります。
また、ほとんど使う頻度はないと思いますが、ICSP端子も削除されています。
以下の記事ではArduino Nano Everyの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

Arduino Nano

『Arduino Nano』は、Arduino Microをさらに小さくしたエディションで、ピンヘッダが実装されているので、Arduino Microと同様に、そのままブレッドボードに差し込んで利用することもできます。
また、機能的にはArduino Uno R3とほぼ同じで、アナログ入力がArduino Unoより2本多い8本になっています。
ただし、デジタル入出力とアナログ入力の端子は、Arduino Microのように切り替えることはできません。加えて、USBポートが、あまり使われなくなりつつある「Mini USB Type-B」になっているので、ご注意下さい。
以下の記事ではArduino Nanoの仕様・機能をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

生産中止のエディション
Arduinoボードにはすでに生産中止になってしまったエディションも数多く存在します。書籍や他サイトでよく紹介されているエディションで生産中止になり、入手できなくなったものをまとめてみました。
Arduino Industrial 101

仕様 | Arduino Industrial 101 |
---|---|
基板サイズ | 42×51mm |
マイコンチップ/ 動作周波数 (プロセッサ) | ATmega32u4/ 16MHz |
RAM | 2.5kB/ATmega32u4 |
ROM | 32kB Flash/ATmega32u4 ※プログラムを保存 |
EEPROM | 1kB |
動作電圧 | +5V |
電源入力電圧 | +5V |
出力電圧 | +5V、+3.3V |
デジタル入出力 | 3本 |
PWM出力 (パルス幅変調出力) | 2本 |
アナログ入力 | 4本 |
アナログ出力 (DAC) | - |
端子の定格電流 | 40mA/各端子 |
プログラム 書き込み端子 | Micro USB Type-B ICSP |
その他 インターフェース | UART I2C SPI IEEE 802.11 b/g/n Ethernet USB |
『Arduino Industrial 101』は、かつて「Internet of Things」にカテゴリされていたArdinoボードです。
メインのマイコンに加えて、Wi-Fi(無線LAN)付きのLinuxボードを搭載することで、ネットワークに接続できるようにしたエディションです。すでに生産中止になった「Arduino Yún」に近い機能だと言えます。
当時は、工事設計認証(技適認証)を取得しているWi-Fi機能を搭載したArduinoボードが少なく貴重の存在でしたが、Arduino Yúnと同様に生産中止となっています。
現在、ワイヤレス通信機能(Wi-Fi/Bluetooth)を使ってIoTプロジェクトを始めたい方は、Arduino Uno R4 WiFiがおすすめです。

Arduino 101
『Arduino 101(またはGenuino 101)』は、アメリカのArduino LLCがIntel(インテル)と共同設計した「Intel Curie」を搭載したArduinoボードです。
形状はArduino Unoと同じ(基板サイズは違う)で、BLE(Bluetooth Low Energy)、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサが標準で搭載しています。また、クロック周波数の高いIntel Curieを搭載したことで、Arduino Unoより高速処理が可能となっています。
しかし、2017年9月にIntelがIntel Curieの生産中止を発表したため、それに伴い現在、入手できるArduino 101は、市場に出回っている分のみとなります。
Arduino Yún
『Arduino Yún』は、メインのマイコンに加えて、Wi-Fi(無線LAN)付きのLinuxボードを搭載することで、ネットワークに接続できるようにしたエディションです。
当初は、工事設計認証(技適認証)を取得していなかったため、有線のみしか使用できませんでしたが、後にメーカーが工事設計認証を取得して、無線LAN機能が使えるようになりました。
しかし、現在は生産中止になったため、入手することはできません。実質的な後続機として、「Arduino Industrial 101」が販売されているので、こちらを使うようにしましょう。
Wearableシリーズ(身につける)
『Wearable』は、ボードの形状が円形になっており、「身につける」ことを意識したArduinoボードです。複数のエディションがありますが、Arduino公式WEBサイトから情報が削除されており、入手することはできないようです。
おすすめのArduinoボードはどれ?
当記事で紹介したArduinoボードを用途別のおすすめをまとめてみました。
- 電子工作・マイコン初心者:Arduino Uno R4 Minima
- 通信機能(WiFi/Bluetooth)を使いたい:Arduino Uno R4 WiFi
- 小さいスペースに使いたい:Arduino Nano Every
Arduinoボードは、互換品やすぐに使えるように電子部品と組み合わせたキットも存在します。
電子工作初心者にとっては、どれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれませんが、以下の記事で初心者でもわかりやすいように、ランキング形式でおすすめのArduinoボードを紹介しています。ぜひご覧ください。
