LTspiceに使える高精度SPICEモデルを入手する方法とは?
当記事では、LTspiceに使える高精度SPICEモデルを入手する方法について詳しく解説します。
現実的に無料で高精度SPICEモデルを入手するのは難しく、有料のSPICEモデル作成サービスを利用した方が良い場合もあります。
無料での高精度SPICEモデルの入手は難しい
以下の記事で無料でSPICEモデルを提供しているメーカーを紹介しましたが、大まかな動きを確認するならともかく、解析精度が必要なシミュレーションでは使用できないほど精度が良くないSPICEモデルだったりすることがあります。
自分で自在に高精度のSPICEモデルを作成(デバイスモデリング)できれば良いのですが、高度な等価回路の知識が必要で習得が難しいです。
また、日本ではデバイスモデリング関係の書籍が少なく、勉強しづらい環境にもあります。
そこで、考えられるのが有料のSPICEモデル作成サービス(デバイスモデリングサービス)の利用する方法です。
日本でも、複数社がSPICEモデル作成サービスに力を入れており、会社によってシステムは異なりますが、ある会社では契約すると作成済みの高精度なSPICEモデルを利用できるようになり、提供していないSPICEモデルに関しても追加リクエストが可能なようです。
デメリットとしては、費用が非常に高額で1年間契約で約100万円、SPICEモデルの単品購入だと1モデル当たり約5000円~2万円もかかります。お金に余裕があって、電子回路設計の業務の多いメーカーでないと、利用するのは難しいでしょうね。
SPICEモデル作成サービス提供メーカーリスト
SPICEモデル作成サービスを提供しているメーカーを紹介します。費用は高額ですが、高精度SPICEモデルを入手できれば、電子回路設計の工数を削減できることは事実なので、必要であれば検討してみると良いと思います。
MoDeCH(モーデック)
MoDeCH(モーデック)は最もSPICEモデル作成サービスに力を入れている会社の一つで、「Model On!サービス」と言うオンデマンド型のモデル・デリバリーサービスを提供しています。確かインターネット上の記事で1年間の契約費用が100万円だった気がします。
どうやら、MoDeCHの創業メンバーは旧Agilent(現在のKEYSIGHT)出身ようで、後で紹介しますがKEYSIGHTもMoDeCHと同様のSPICEモデル作成サービスを提供しています。
Bee Technologies(ビー・テクノロジー)
Bee Technologies(ビー・テクノロジー)の代表 堀米毅氏は日本で唯一のSPICEモデルの作成方法を紹介した書籍の著者でもあります。
電子部品通販サイトのマルツオンラインで、SPICEモデルを販売しており、1モデルから購入することができます。
ただし、値段は高く1モデル当たり、約5000円~2万円はします。
また、Bee TechnologiesのWEBサイトでも、SPICEパークと言うサービス名で有料のSPICEモデルの販売や受注型のデバイスモデリングサービスを提供しています。
KEYSIGHT(キーサイト)
KEYSIGHT(キーサイト)は計測器(特にオシロスコープ)で有名なメーカーですよね。
旧社名のAgilent(アジレント)の方が馴染みがある方が多いと思いますが、残念(?)ながら会社分割されたことにより、新会社のAgilentは化学分析・ライフサイエンス事業、KEYSIGHTは電子計測事業を行っています。
そして、KEYSIGHTではハードウェアとしての計測器以外にも設計・テスト用ソフトウェアも扱っており、その中でデバイス・モデリングサービスを提供しています。
具体的なデバイス・モデリングサービスの費用については、WEBサイト上で見当たらなかったので、KEYSIGHTに問い合わせる必要があります。
INNOTECH(イノテック)/OrCad
INNOTECH(イノテック)は知名度の高い回路設計ツールである「OrCad」を取り扱っており、OrCadをライセンス契約すると、やはり知名度の高い回路シミュレータ「PSpice」も利用できるようになります。
(OrCadを開発しているのはCadence Design Systemsですが、日本での販売はINNOTECHが代理店のようです。)
無償モデル作成サービスもOrCadのライセンス契約に含まれるようですが、当然ながら作成できるSPICEモデルはPSpice用に限定され、ダイオード・バイポーラトランジスタ・MOSFET以外のモデル作成については有償になる可能性があるようです。
現在、INNOTECHは協業関係にあるMoDeCHの「Model On!サービス」と言うオンデマンド型のモデル・デリバリーサービスを紹介しています。
また、OrCadのライセンス契約の費用自体も高額で年間100万円以上はします。
SPICEモデル作成サービスだけの目的だと、なかなか利用しづらいかなと思います。
SILVACO(シルバコ)
SILVACO(シルバコ)はEDAツールおよびTCADプロセス/デバイス・シミュレータを扱うソフトウェア会社です。
つまり、半導体や電子回路の設計ツールを扱っており、その中でSPICEモデリング・サービスを提供しています。
具体的なSPICEモデリング・サービスの費用については、WEBサイト上で見当たらなかったので、SILVACOに問い合わせる必要があります。