インダクタ(コイル)-インダクタンス値の読み方

当記事では、インダクタ(コイル)のインダクタンス値の読み方について詳しく解説します。
E系列
インダクタのインダクタンス値は、キリの良い数字ではなく、以下のようにE系列に沿った容量値が決められています。
E系列のEは指数(Exponent)のことで、E12系列だと$\sqrt[12]{10^n}$のnに0~11の数字(12個の数字)を入れていくと完成します。
誤差(許容差)が±10[%]のインダクタの場合、E12系列の値を使用すれば、10[uH]は9~11[uH]、12[uH]は10.8~13.2[uH]、15[uH]は13.5~16.5[uH]となり、誤差の範囲が重なるようになっています。
抵抗では、E12系列から使われることが多いのですが、インダクタの場合、E6系列またはE12系列がよく使われています。
E6/E12/E24系列
| E6 ±20% $\sqrt[6]{10^n}$ | E12 ±10% $\sqrt[12]{10^n}$ | E24 ±5% $\sqrt[24]{10^n}$ |
|---|---|---|
| 1.0 | 1.0 | 1.0 |
| 1.1 | ||
| 1.2 | 1.2 | |
| 1.3 | ||
| 1.5 | 1.5 | 1.5 |
| 1.6 | ||
| 1.8 | 1.8 | |
| 2.0 | ||
| 2.2 | 2.2 | 2.2 |
| 2.4 | ||
| 2.7 | 2.7 | |
| 3.0 | ||
| 3.3 | 3.3 | 3.3 |
| 3.6 | ||
| 3.9 | 3.9 | |
| 4.3 | ||
| 4.7 | 4.7 | 4.7 |
| 5.1 | ||
| 5.6 | 5.6 | |
| 6.2 | ||
| 6.8 | 6.8 | 6.8 |
| 7.5 | ||
| 8.2 | 8.2 | |
| 9.1 |
カラーコード表示(リード付きインダクタ)

リード付きインダクタ(アキシャルリード・インダクタ)は、以下のように数字を表す色(カラー)で表記されています。
カラーコード表示
| 色 | 第1数字 | 第2数字 | 乗数 | 誤差 |
|---|---|---|---|---|
| 黒/Black | 0 | 0 | $10^0$ | - |
| 茶/Brown | 1 | 1 | $10^1$ | ±1[%] |
| 赤/Red | 2 | 2 | $10^2$ | ±2[%] |
| 橙/Orange | 3 | 3 | $10^3$ | ±0.05[%] |
| 黄/Yellow | 4 | 4 | $10^4$ | ±0.02[%] |
| 緑/Green | 5 | 5 | $10^5$ | ±0.5[%] |
| 青/Blue | 6 | 6 | $10^6$ | ±0.25[%] |
| 紫/Purple | 7 | 7 | $10^7$ | ±0.1[%] |
| 灰/Gray | 8 | 8 | $10^8$ | ±0.01[%] |
| 白/White | 9 | 9 | $10^9$ | - |
| 金/Gold | - | - | $10^{-1}$ | ±5[%] |
| 銀/Silver | - | - | $10^{-2}$ | ±10[%] |
| 無色/None | - | - | - | ±20[%] |
カラーコードと数字の関係は、以下のような語呂合わせを使った方が覚えやすいです。段々とカラーコード表示のインダクタンス値を読んでいく内に、色を見た瞬間に数字が思い浮かぶようになっていきます。
カラーコードの語呂合わせ
| 色 | 語呂合わせ |
|---|---|
| 黒/Black | 黒い礼(0)服 |
| 茶/Brown | 茶を1杯 |
| 赤/Red | 赤いに(2)んじん |
| 橙/Orange | み(3)かんは橙 |
| 黄/Yellow | 四季(黄) |
| 緑/Green | 緑子(5) |
| 青/Blue | 青二才のロク(6)でなし |
| 紫/Purple | 紫式(7)部 |
| 灰/Gray | ハイ(灰8)ヤー |
| 白/White | ホワイト・ク(9)リスマス |
| 金/Gold | - |
| 銀/Silver | - |
| 無色/None | - |
読み方の例:4バンド・インダクタ

- 第1数字:1(茶)
- 第2数字:0(黒)
- 乗数:$10^0$(黒)
- 誤差:±10[%](銀)
- インダクタンス値:$$10 \times 10^0[uH]=10[uH]±10[\%]$$
リード付きインダクタ(アキシャルリード・インダクタ)では、4バンド・インダクタの表示がよく使われます。
読み方の例:3バンド・インダクタ

- 第1数字:1(茶)
- 第2数字:0(黒)
- 乗数:$10^0$(黒)
- インダクタンス値:$$10 \times 10^0[uH]=10[uH]$$
リード付きインダクタ(アキシャルリード・インダクタ)では、3バンド・インダクタの表示もあります。4バンド・インダクタの表示から誤差がなくなっています。
数字表示

チップインダクタ(巻線タイプ)やラジアルリード・インダクタでは、以下のように数字表示されています。数字以外に、R(小数点)やL(nH・小数点)など特殊な表記もあります。
通常、「uH」(マイクロ・ヘンリー)を基準にしています。
数字表示
| 第1数字 | 第2数字 | 乗数 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | $10^0$ |
| 1 | 1 | $10^1$ |
| 2 | 2 | $10^2$ |
| 3 | 3 | $10^3$ |
| 4 | 4 | $10^4$ |
| 5 | 5 | $10^5$ |
| 6 | 6 | $10^6$ |
| 7 | 7 | $10^7$ |
| 8 | 8 | $10^8$ |
| 9 | 9 | $10^9$ |
| R(小数点) | R(小数点) | - |
| N($10^{-9}$/小数点) | N($10^{-9}$/小数点) | N($10^{-9}$) |
インダクタの誤差は、以下のようにアルファベットで表示されています。
誤差
| 記号 | 誤差 |
|---|---|
| F | ±1[%] |
| G | ±2[%] |
| J | ±5[%] |
| K | ±10[%] |
| M | ±20[%] |
インダクタ早見表
インダクタ早見表
| 表示例 | インダクタンス値 |
|---|---|
| 104 | 100[mH] |
| 103 | 10[mH] |
| 102 | 1[mH] |
| 101 | 100[uH] |
| 100 | 10[uH] |
| 1R0 | 1[uH] |
| R10 | 0.1[uH] |
| 10N | 10[nH] |
| 1N0 | 1[nH] |
読み方の例:チップインダクタなど

- 第1数字:2
- 第2数字:7
- 乗数:$10^0$
- 誤差:±5[%](J)
- インダクタンス値:$$27 \times 10^0[uH]=27[uH]±5[\%]$$
巻線タイプのチップインダクタやラジアルリード・インダクタでは、数字表記されることが多いです。誤差は、アルファベットで表示されています。

- 第1数字:4
- 第2数字:7
- 乗数:$10^0$
- インダクタンス値:$$47 \times 10^0[uH]=47[uH]$$
インダクタの種類によって、誤差の表示が省略されることがあります。

- 小数点:R
- 第1数字:1
- 第2数字:2
- インダクタンス値:$$0.12[uH]$$
「R」を小数点として読みます。この場合、乗数表示はありません。

- 第1数字:1
- 小数点:R
- 第2数字:2
- インダクタンス値:$$1.2[uH]$$
「R」を小数点として読みます。この場合、乗数表示はありません。

- 第1数字:1
- 第2数字:2
- 単位:N([uH]⇒[nH])
- インダクタンス値:$$12[nH]$$
末尾に「N」の表記があるので、単位が[uH]⇒[nH]になります。

- 第1数字:1
- 小数点:N
- 第2数字:2
- 単位:N([uH]⇒[nH])
- インダクタンス値:$$1.2[nH]$$
「N」が数字に挟まれているので、単位が[uH]⇒[nH]に変化するのに加えて、小数点の意味にもなります。