オペアンプの減算回路(差動増幅回路)

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当記事では、「オペアンプ(OPアンプ/OP-Amp)の減算回路/差動増幅回路」について詳しく解説していきます。

反転増幅と非反転増幅を同時に行い、2つの入力電圧を減算(引き算)して出力することから減算回路と呼ばれていますが、結果的に入力電圧の差分を増幅することから差分増幅回路とも呼ばれています。

目次

オペアンプの減算回路(差動増幅回路)の特徴

減算回路(差動増幅回路)

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路

$$V_{out}=\frac{R_2}{R_1}\left(V_{in+}-V_{in-}\right)$$
減算回路は、2つの入力信号の差分(減算値)を増幅することから、差動増幅回路とも呼ばれます。

上式の通り、$R_1=R_3, R_2=R_4$であれば、$\frac{R_2}{R_1}$の増幅率で、$V_{in+}-V_{in-}$の信号が増幅され、$V_{out}$に出力されます。

例えば、$R_1=R_2=R_3=R_4=10kΩ, V_{in+}=12V, V_{in-}=2V$であれば、$V_{out}=10V$になります。
$$V_{out}=\frac{10k}{10k}\left(12-2\right)=10[V]$$
そのため、入力信号源と減算回路(差動増幅回路)とのGNDレベルが異なっていても、問題なく2つの入力電圧の差分を増幅でき、減算回路(差動増幅回路)のGNDレベルで出力することができます。

ただし、抵抗の誤差が大きいと、同相入力電圧を十分に除去しきれなくなってしまいます。

同相除去比(CMRR)が高いオペアンプであることが前提ですが、同相電圧をより除去するために、高精度の抵抗や可変抵抗を用いて抵抗比のバランス($R_2/R_1=R_4/R_3$)を調整することが必要になってきます。

なお、減算回路(差動増幅回路)は、反転増幅回路と非反転増幅回路の2つが組み合わさった回路なので、先にこの2つの回路について理解しておくと、よりが理解しやすくなります。

反転増幅回路と非反転増幅回路の詳しい解説は以下の記事をご覧下さい。

オペアンプの減算回路(差動増幅回路)の計算

オペアンプの減算回路/差動増幅回路の関係式を求めるために、回路各部の電圧の関係式から算出する精密計算をします。

減算回路/差動増幅回路

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路

$+$と$-$の端子は、仮想短絡(イマジナリショート/バーチャルショート)を通じて接続されていると考えることができます。
$$V_-=V_+\cdots(1)$$
そのため、オペアンプの端子電圧である$V_+$と$V_-$を求め、$V_{out}$を計算していきます。

まず、$V_+$を求めます。$V_+$は、$V_{in+}$を$R_3$と$R_4$で分圧した電圧になるので、以下のような分圧回路で表すことができます。

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路 分圧回路 V+

さらに、分圧回路をわかりやすく変形させると以下のようになります。

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路 分圧回路 V+

よって、$V_+$は以下のようになります。
$$V_+=\frac{R_4}{R_3+R_4}V_{in+}\cdots(2)$$
次に$V_-$を求めます。減算回路/差動増幅回路の$-$端子は入力インピーダンスが高いため、電流が流れ込まないことから、以下のような回路で表すことができます。

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路 分圧回路 V-

重ね合わせの理(重ね合わせの原理、重ねの理、重畳の理)により、上記の回路を2つに分割して考えると、分圧回路として簡単に$V_-$を求めることができます。

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路 分圧回路 V- 重ねの理

$$V_{1-}=\frac{R_1}{R_1+R_2}V_{out}$$

オペアンプ 減算回路 差動増幅回路 分圧回路 V- 重ねの理

$$V_{2-}=\frac{R_2}{R_1+R_2}V_{in-}$$
よって、$V_-$は以下のようになります。
$$V_{-}=V_{1-}+V_{2-}$$
$$V_-=\frac{R_1}{R_1+R_2}V_{out}+\frac{R_2}{R_1+R_2}V_{in-}\cdots(3)$$
(1)式に(2)式と(3)式を代入することで、$V_{out}$を求めることができます。
$$\frac{R_1}{R_1+R_2}V_{out}+\frac{R_2}{R_1+R_2}V_{in-}=\frac{R_4}{R_3+R_4}V_{in+}$$
$$\frac{R_1}{R_1+R_2}V_{out}=\frac{R_4}{R_3+R_4}V_{in+}-\frac{R_2}{R_1+R_2}V_{in-}$$
$$V_{out}=\frac{R_4(R_1+R_2)}{R_1(R_3+R_4)}V_{in+}-\frac{R_2}{R_1}V_{in-}$$
さらに、$R_1=R_3, R_2=R_4$とすると、$V_{out}$は以下のようになります。
$$V_{out}=\frac{R_2(R_1+R_2)}{R_1(R_1+R_2)}V_{in+}-\frac{R_2}{R_1}V_{in-}$$
$$V_{out}=\frac{R_2}{R_1}V_{in+}-\frac{R_2}{R_1}V_{in-}$$
$$V_{out}=\frac{R_2}{R_1}\left(V_{in+}-V_{in-}\right) \quad or \quad V_{out}=-\frac{R_2}{R_1}\left(V_{in-}-V_{in+}\right)$$

その他のオペアンプの回路例

当記事では、「オペアンプの減算回路/差動増幅回路」について詳しく解説してきましたが、その他にもオペアンプには様々な回路が存在します。

以下の記事で、比較的よく使われるオペアンプの回路について紹介しているので、ぜひご覧ください。

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