LEDの電流制限抵抗の計算方法
当記事では、LEDの電流制限抵抗の計算方法について詳しく解説します。
LEDは豆電球のように直接電圧を加えてしまうと壊れてしまいます。そのため、LEDに流れる電流を抑える抵抗を直列に接続する必要があるのです。
LEDと豆電球の違い
LEDは豆電球と違って、そのまま電圧を加えてしまうと大量の電流がLEDに流れてしまい壊れてしまいます。豆電球は豆電球自体が抵抗を持っているのに対して、LEDはほぼ抵抗が無い(抵抗0Ω)からです。
そのため、LEDに流れる電流を適度に抑える抵抗(電流制限抵抗)をLEDに直列に接続する必要があるのです。
LEDの電流制限抵抗の決め方
LEDの直流順電流と直流順電圧
例題として、秋月電子通商でも発売されている5mm赤色LED「OSR5JA5E34B」の電流制限抵抗を決めてみましょう。
まずは「OSR5JA5E34B」のデータシートで、最大定格の直流電流(DC Forward Current)を確認すると、30mAであることがわかります。
しかし、ちょうど30mAだとLEDを壊してしまう可能性があるので、余裕を持って1/3の10mAを流すことを考えてみます。
電源電圧が5Vだとすると、電流制限抵抗の値は、オームの法則からE/I=5V/10mA=500Ωだと思ってしまわないでしょうか?
実は、LEDは光に変換するためのエネルギーとして、直流順電圧の値だけ電圧降下が発生してしまうのです。
次に「OSR5JA5E34B」のデータシートで、電気的特性の直流順電圧(DC Forward Voltage)を確認すると、標準値(Typ.)で2.1Vであることがわかります。
つまり、「OSR5JA5E34B」は発光するために、2.1Vの電圧を使うので、電流制限抵抗には約2.9Vしか加わらないことがわかります。
再度、電流制限抵抗の値を計算すると、オームの法則からE/I=2.9V/10mA=290Ωになることが判明しました。
ちなみに、直流電流が20mAの時、データシートに直流順電圧の標準値(Typ.)が2.1Vと明記されていますが、直流電流が10mAでも、それほど直流順電圧は変わらないので無視しても問題ありません。
抵抗のE系列と消費電力
「LEDの直流順電流と直流順電圧」で、「OSR5JA5E34B」に10mAの電流を流すには290Ωの電流制限抵抗を直列に接続すればいいことがわかりました。
しかし、290Ωの抵抗を電子パーツショップなどで探してみても、見つけられないと思います。実は抵抗はE系列という数列を元に、抵抗の値が決められているのです。
抵抗のE系列はE3~E192までありますが、系列の数値が大きいと値も細かくなってしまうので、E3、E6、E12、E24の中から選ぶと良いでしょう。
E24で290Ωに近い値を探すと、300Ωになるので、オームの法則からLEDに流れる電流を計算すると、E/R=2.9V/300Ω=約9.67mAになることがわかります。
これで、やっと電流制限抵抗の値を決めることができましたが、抵抗の消費電力についても考慮する必要があります。
計算すると「P=E×I=(R×I)×I=300Ω×9.67mA×9.67mA=約0.0281W」となります。
つまり、0.0281Wの消費電力の分だけ、抵抗が発熱することになるので、十分な定格電力(電力の最大値)の抵抗を選ばなければなりません。目安としては定格電力の半分以下の消費電力になります。
電子パーツショップでは、1/4W(0.25W)、1/8W(0.125W)の抵抗が手に入りやすいのですが、今回計算した消費電力0.0281Wであれば、どちらの定格電力の抵抗でも十分な余裕があります。
最後にまとめると、「OSR5JA5E34B」に約10mAの電流を流す場合の、電流制限抵抗は「300Ω 1/8W」ということになります。
抵抗付きLEDがおすすめ
これまでで、LEDの電流制限抵抗の計算方法について解説してきましたが、意外と難しかったと思います。
プロのエンジニアやこれから電子回路設計の仕事を目指す工学部の学生であれば、上記のような『LED・抵抗セット』があれば、問題なくLEDの電流制限抵抗の計算ができると思います。
しかし、単に趣味で電子工作をしたい方にとっては、できるだけ面倒なことはしたくないですよね。
そこで、おすすめしたいのが『抵抗付きLED』です。すでに抵抗が接続された状態で販売されているので、そのまま電圧を加えるだけで点灯させることができるのです。
注意点としては、加える電圧に合わせた抵抗付きLEDを選ぶことと接続時にLEDの極性を間違わないことぐらいですね。