当記事では実際にユーロが使える国・地域と使えない国・地域をまとめてみました。
ユーロと聞くとEU(欧州連合)の通貨のイメージがありますが、実際にはEU加盟国28ヵ国中19ヵ国にとどまっています。EUに加盟していても、イギリスのポンドのように自国の通貨を使い続ける国もあるのです。
また、EU加盟国ではない国でもユーロを法定通貨としている国もあったりと案外、複雑だったりするのです。
Contents
ユーロとは?
ユーロは、アメリカドルと並びは世界を見渡しても知らない人はほとんどいない通貨ではないでしょうか。
2016年のSWIFT(国際銀行間通信協会)より発表された通貨別代金決済シェアではアメリカドルに次いで31.1%とユーロのシェアが高く、ヨーロッパを中心に多く利用されている通貨になります。
ユーロがそれだけ多く流通している通貨ということは、両替手数料が流通量の少ない通貨よりも有利になるため、日本国内でユーロに両替しても現地の両替所と比較してもそれほど差はありません。
逆にフィリピンペソやベトナムドンなどの流通量の少ない通貨だと、日本国内で両替しようとするとかなり高額の両替手数料が発生してしまいます。
ユーロ紙幣/ユーロ硬貨
まずは現在発行中のユーロ紙幣をを紹介していきます。通常、日本円からユーロに両替する時に以下のような紙幣を入手することができます。
円換算額については、Travelex(トラベレックス)の2018/2/5のオンラインレートを参照しました。
なお、1ユーロ紙幣と2ユーロ紙幣の印刷費用はどうやら硬貨の鋳造費用を作るよりコストが高いらしく存在しません。
発行中のユーロ紙幣
紙幣 | 円換算額 |
---|---|
5€ | 704.8円 |
10€ | 1409.6円 |
20€ | 2819.2円 |
50€ | 7048円 |
100€ | 14096円 |
200€ | 28192円 |
現状では一番高額のユーロ紙幣は500ユーロになりますので、円換算すると7万円ぐらいになりますね。
ただ、最近では高額紙幣は廃止傾向にあります。一見、高額紙幣は便利にも思えますが、その分マネーロンダリング(資金洗浄)やテロリストへの資金供与に高額紙幣が使われてしまうのです。
そして、500ユーロ紙幣は20019年に入って回収が進められていますが、無期限で法定通貨として使用でき、他の紙幣や硬貨との交換が可能ですので、ご安心くださいね。
やはり高額紙幣となると持ち運ぶのが危ないですので、今は高額な買い物はクレジットカードで行われているのが現状ではないでしょうか。
最後に現在発行中のユーロ硬貨を紹介します。
硬貨の外貨両替は通常行われていないので、ユーロ紙幣で支払った時にお釣りとして入手することが多いでしょう。
ユーロ紙幣はどこの国でも同じデザインが採用されていますが、ユーロ硬貨の場合は表面は各国共通のデザインで、裏面は各国独自のデザインになっています。
発行中のユーロ硬貨
硬貨 | 円換算額 |
---|---|
0.01€ | 1.4096円 |
0.02€ | 2.8192円 |
0.05€ | 7.048円 |
0.10€ | 14.096円 |
0.20€ | 28.192円 |
0.50€ | 70.48円 |
1€ | 140.96円 |
2€ | 281.92円 |
ユーロを使える国・地域
ユーロが使える国と言えばまず思い浮かぶのがEU加盟国だと思いますが、一概にそうとは言えないのがユーロの難しいところです。早速、ユーロが使える国や地域などを紹介していきますね。
EU加盟国
- オーストリア:ヨーロッパ
- ベルギー:ヨーロッパ
- ドイツ:ヨーロッパ
- スペイン:ヨーロッパ
- エストニア:ヨーロッパ
- フィンランド:ヨーロッパ
- フランス:ヨーロッパ
- ギリシャ:ヨーロッパ
- アイルランド:ヨーロッパ
- イタリア:ヨーロッパ
- ラトビア:ヨーロッパ
- リトアニア:ヨーロッパ
- ルクセンブルク:ヨーロッパ
- マルタ:ヨーロッパ
- オランダ:ヨーロッパ
- ポルトガル:ヨーロッパ
- スロバキア:ヨーロッパ
- スロベニア:ヨーロッパ
- キプロス:中東(地中海)
まずは基本ですが、上記のEU加盟国がユーロを使用しています。
当たり前ですが、EU加盟国でユーロを導入している国は多く、ドイツやフランスなど有名な国が並んでいるのがわかりますね。
キプロスについては、ヨーロッパより中東側に位置している国になりますが、ほぼギリシャ系住民が占めている経緯もあり、EU加盟でユーロを使用しています。
逆に北キプロス・トルコ共和国については、トルコ系住民が占めているため、EU非加盟でトルコ・リラを使用しています。
EU加盟候補国
- モンテネグロ:ヨーロッパ
EU加盟候補国のモンテネグロはユーロを使用しています。
潜在的EU加盟候補国
- コソボ:ヨーロッパ
潜在的EU加盟候補国のコソボはユーロを使用しています。
(EU加盟候補国とまでは認知されていないため、「潜在的」がつきます。)
通貨同盟国
- アンドラ(フランス、スペインと通貨同盟):ヨーロッパ
- モナコ(フランスと通貨同盟):ヨーロッパ
- サンマリノ(イタリアと通貨同盟):ヨーロッパ
- バチカン(イタリアと通貨同盟):ヨーロッパ
単一通貨を共有することで合意している国(通貨同盟国)があり、上記の国ではフランス、イタリア、スペインがユーロを導入したため、通貨同盟国も自国でユーロを法定通貨として使うことになりました。
フランス海外領土
- グアドループ:カリブ海
- フランス領ギアナ:南アメリカ
- フランス領南方・南極地域:インド洋・南極
- マルティニーク:カリブ海
- マヨット:アフリカ(インド洋)
- レユニオン:アフリカ(インド洋)
- サン・バルテルミー島:カリブ海
- サン・マルタン島:カリブ海
- サンピエール島・ミクロン島:北アメリカ(北大西洋)
フランスではユーロを使っているため、上記のカリブ海、インド洋の島々にあるフランスの海外領土でもユーロが使われています。
(逆にイギリスも海外領土を多く持っていますが、イギリスはユーロを使用せずポンドを使っているため、ほとんどの海外領土でも同様にユーロを使っていません。)
イギリス海外領土
- アクロティリおよびデケリア:中東(地中海)
イギリスの海外領土になりますが、キプロス内のイギリス軍海外基地領域になるため、キプロスがユーロを導入するのに伴って、アクロティリおよびデケリアでもユーロを使うようになっています。本当に例外中の例外ですね。
ユーロを使えない国・地域(ヨーロッパ)
ユーロが使える国と言えばまず思い浮かぶのがEU加盟国だと思いますが、一概にそうとは言えないのがユーロの難しいところです。早速、ヨーロッパに限定して、ユーロが使えない国や地域などを紹介していきますね。
EU加盟国
- イギリス(ポンド):ヨーロッパ
- ブルガリア(レフ):ヨーロッパ
- クロアチア(クーナ):ヨーロッパ
- チェコ(チェコ・コルナ):ヨーロッパ
- デンマーク(デンマーク・クローネ):ヨーロッパ
- ハンガリー(フォリント):ヨーロッパ
- ポーランド(ズウォティ):ヨーロッパ
- ルーマニア(ルーマニア・レウ):ヨーロッパ
- スウェーデン(スウェーデン・クローナ):ヨーロッパ
上記の国はEU加盟国でありますが、ユーロを使っていない国になります。
特にイギリスのポンドは有名で、イギリス自身のEU離脱でも話題になっていましたね。ただ、法定通貨としては採用していませんが、観光地ではユーロが通用することが多いです。
EU加盟候補国
- セルビア(セルビア・ディナール):ヨーロッパ
- マケドニア(マケドニア・デナール):ヨーロッパ
- アルバニア(レク):ヨーロッパ
上記の国はEU加盟候補国でありますが、ユーロを使っていない国になります。
潜在的EU加盟候補国
- ボスニア・ヘルツェゴビナ(兌換マルク):ヨーロッパ
- モルドバ(モルドバ・レウ):ヨーロッパ
上記の国は潜在的EU加盟候補国でありますが、ユーロを使っていない国になります。
EU非加盟国
- ノルウェー(ノルウェー・クローネ):ヨーロッパ
- スイス(スイス・フラン):ヨーロッパ
上記の国はヨーロッパに存在していますが、EUにも加盟せず、ユーロも使っていないですね。
特にスイスは永世中立国とされており、通貨としてのスイス・フランやスイスの銀行は有名ですよね。
ロシア領(飛び地)
- カリーニングラード州(ロシア・ルーブル):ヨーロッパ
調べてみて驚いたのですが、ヨーロッパのリトアニアとポーランドの国境に接しているロシア領の飛び地であるカリーニングラード州が存在していることがわかりました。
地理的にはヨーロッパである反面、ロシアの州なので通貨はロシア・ルーブルが使われているようです。
まとめ
最後に一覧表としてまとめてみました。
ユーロが使える国・地域
国・地域 | 種別 | 地域区分 |
---|---|---|
オーストリア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ベルギー | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ドイツ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
スペイン | EU加盟国 | ヨーロッパ |
エストニア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
フィンランド | EU加盟国 | ヨーロッパ |
フランス | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ギリシャ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
アイルランド | EU加盟国 | ヨーロッパ |
イタリア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ラトビア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
リトアニア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ルクセンブルク | EU加盟国 | ヨーロッパ |
マルタ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
オランダ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ポルトガル | EU加盟国 | ヨーロッパ |
スロバキア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
スロベニア | EU加盟国 | ヨーロッパ |
キプロス | EU加盟国 | 中東(地中海) |
モンテネグロ | EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
コソボ | 潜在的EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
アンドラ | フランス、スペインとの通貨同盟国 | ヨーロッパ |
モナコ | フランスとの通貨同盟国 | ヨーロッパ |
サンマリノ | イタリアとの通貨同盟国 | ヨーロッパ |
バチカン | イタリアとの通貨同盟国 | ヨーロッパ |
グアドループ | フランス海外領土 | カリブ海 |
フランス領ギアナ | フランス海外領土 | 南アメリカ |
フランス領南方・南極地域 | フランス海外領土 | インド洋・南極 |
マルティニーク | フランス海外領土 | カリブ海 |
マヨット | フランス海外領土 | アフリカ(インド洋) |
レユニオン | フランス海外領土 | アフリカ(インド洋) |
サン・バルテルミー島 | フランス海外領土 | カリブ海 |
サン・マルタン島 | フランス海外領土 | カリブ海 |
サンピエール島・ミクロン島 | フランス海外領土 | 北アメリカ(北大西洋) |
アクロティリおよびデケリア | イギリス海外領土 | 中東(地中海) |
ユーロが使えない国・地域
国・地域 | 流通通貨 | 種別 | 地域区分 |
---|---|---|---|
イギリス | ポンド | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ブルガリア | レフ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
クロアチア | クーナ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
チェコ | チェコ・コルナ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
デンマーク | デンマーク・クローネ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ハンガリー | フォリント | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ポーランド | ズウォティ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
ルーマニア | ルーマニア・レウ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
スウェーデン | スウェーデン・クローナ | EU加盟国 | ヨーロッパ |
セルビア | セルビア・ディナール | EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
マケドニア | マケドニア・デナール | EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
アルバニア | レク | EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | 兌換マルク | 潜在的EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
モルドバ | モルドバ・レウ | 潜在的EU加盟候補国 | ヨーロッパ |
ノルウェー | ノルウェー・クローネ | EU非加盟国 | ヨーロッパ |
スイス | スイス・フラン | EU非加盟国 | ヨーロッパ |
カリーニングラード州 | ロシア・ルーブル | ロシア領(飛び地) | ヨーロッパ |
単純にEU加盟国であればユーロが使えるというわけでもなかったりしましたが、さすがにヨーロッパで普及している通貨なので、ユーロを法定通貨としていないヨーロッパの国でも観光地などであれば使えるところは多いそうです。
ぜひ旅行の行かれる前にでもご活用いただけたら幸いです。
アメリカドルを使える国・地域についてもまとめてみたので、よろしければ以下の記事をご覧ください。